米国EV市場動向-政策と注目のスタートアップ…スクラムベンチャーズ 島田弓芙子氏[インタビュー]

米国EV市場動向-政策と注目のスタートアップ…スクラムベンチャーズ 島田弓芙子氏[インタビュー]
米国EV市場動向-政策と注目のスタートアップ…スクラムベンチャーズ 島田弓芙子氏[インタビュー]全 2 枚

来たる11月15日、オンラインセミナー「バイデン政権の思惑と米国の電動化の現場」が開催される。セミナーに登壇するのは、スクラムベンチャーズ プログラムマネージャーの島田弓芙子氏。

スクラムベンチャーズは、アメリカ・サンフランシスコと東京に拠点を持つスタートアップ投資ファンドで、米・日における幅広いネットワークを活かした新規事業創出や関連リサーチ等を提供する企業だ。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1. バイデン政権下の電動化関連政策動向
2. 米国内のEVをはじめとした、クライメートテック(脱炭素テック)トレンド
3. 米国の電動化を受けた、自動車メーカーへの影響
4. 対談・質疑応答

講演の後には、本セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表の鈴木万治氏を交えて、参加者からの質疑応答やディスカッションの時間が用意されている。

セミナーの詳細はこちらから。
セミナーに先立ち、見どころを島田氏に聞いた。

■政策によるEV販売推進の状況

---:バイデン政権では、電動化推進政策が押し進められていますね。

島田氏:そうですね。まず超党派のインフラ投資・雇用法によって、5,500億ドルが10年にわたって投入されることになりました。もう一つのインフレ削減法も非常に重要な法律です。

加えて、アメリカにはもともとZEVを推進するためのクレジット制度があります。自動車製造会社がCO2排出権を購入・貯蓄・販売できるというものです。

そういった政策もあり、アメリカでのEV販売は2022年に前年比55%増になりました。世界的に見ると車の所有や売り上げは縮小していますが、アメリカでEVの販売がこれだけ増えているというのが非常に特徴的だと思っています。

今後もインフラ投資・雇用法やインフレ抑制法によってさらにEVの販売が増えていくのではないかと考えます。

特にインフレ抑制法は日本でも注目されていますね。米国製のEVにしか、税控除が適用されないというものです。

これを受けて、テスラはリチウムイオンのバッテリーの製造拠点をテキサスに移転させましたし、フォードは中国のCATLとの共同開発をアメリカのミシガンで行っています。BMWはサウスキャロライナで製造しています。このように、アメリカに製造拠点を移している会社が多くなってきています。

日本の自動車メーカーにとっては、すぐに製造拠点をアメリカに立ち上げるわけにもいきませんから、税控除を受けられず、非常に大きな影響が出ています。

■政権交代のリスクをどう捉えるか

---:日本メーカーのEVは税控除の対象から外れて、7500ドル、100万円以上の差がつくという厳しい状況ですが、この施策はしばらく続くのでしょうか。来年秋の大統領選でもし政権交代となれば、また話は変わるのでしょうか。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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