リゾート仕様のマイクロEVがなぜ120km分のバッテリーを積むのか…ジャパンモビリティショー2023

AIM EV MICRO 01
AIM EV MICRO 01全 10 枚

『AIM EV MICRO 01』は大人2人がゆったり乗れる超小型EVだ。全長2.5m×全幅1.3mというサイズで、オレンジカラーのオープンタイプがジャパンモビリティショー2023で展示されたが、クローズドボディも予定されている。デザインは元日産自動車CCOで、いすず時代には『ピアッツァ』を送り出した中村史郎氏が担当する。

◆島嶼部での利用を前提としたバッテリー設計

AIM EV MICRO 01は、沖縄の島嶼部、リゾート地域での利用を想定している点がユニーク。超小型ながら室内に余裕があるオープンボディは確かにリゾート向きだが、120kmというマイクロモビリティとしては長い航続距離も、アップダウンが激しく充電ポイントも少ない沖縄島嶼部での利用を想定しているとのことだ。ガソリン車でも給油場所が少なくて不便な島嶼部に利便性を提供したいという思いがあったという。

固定バッテリー式と交換バッテリー式を計画しており、販売価格はバッテリーを除いた車両価格で100万円以下を想定しているという。量産は2025年度内を目標としている。

また、スポーツタイプの『AIM EV SPORT 01』も合わせて展示されている。こちらも中村史郎氏がデザインを手がけ、2023年4月にオートモービルカウンシルでお披露目され、7月にイギリスで開催された「Goodwood Festival of Speed」で走行したものだ。

全長3945mm、全幅1,893mm、全高1,220mmのコンパクトなボディに、デュアルモーターの360kW(490ps)&740Nmで後輪を駆動する。

◆技術力集団が作りだしたオリジナルハード

AIMは1998年創業の自動車業界向けエンジニアリングサービスの会社だ。従来はメーカーからの依託を受けて自動車技術の受託開発や技術者の人材派遣を行ってきた。

技術力向上のためにルマン24時間耐久レースに参戦し、入賞も経験。その後、EVの時代を見越して高性能モーターを開発したことから、AIM EV SPORT 01の製作につながり、AIM EV MICRO 01の量産計画に到ったようだ。

今回のジャパンモビリティショー2023では、不動産、将棋AIゲーム、ハシゴ・脚立など、さまざまな分野からモビリティマーケットに参入する例を見ることができたが、AIMの場合は、自動車産業のエンジニアリングサービスという本家本元の「技術力」が、ハードウェアとして形を成した。自動車業界の外部からだけでなく、内部でも変化が起きている。

《根岸智幸》

メディアビジネスコンサルタント、ソフトウェアエンジニア、編集者、ライター 根岸智幸

メインフレームのOSエンジニアを皮切りに、アスキーで月刊アスキーなど15誌でリブート、リニューアル、創刊を手がける。クチコミグルメサイトの皮切りとなった「東京グルメ」を開発し、ライブドアに営業譲渡し社員に。独立後、献本付き書評コミュニティ「本が好き!」の企画開発、KADOKAWA/ブックウォーカーで同人誌の電子書籍化プロジェクトなど。マガジンハウス/ananWebなどWebメディアを多数手がけ、現在は自動車とゲーム、XRとメディアビジネスそのものが主領域。 ・インターネットアスキー編集長(1997-1999) ・アスキーPC Explorer編集長(2002-2004) ・東京グルメ/ライブドアグルメ企画開発運営(2000-2008) ・本が好き!企画開発運営(2008-2013) ・BWインディーズ企画運営(2015-2017) ・Webメディア運営&グロース(2017-) 【著書】 ・Twitter使いこなし術(2010) ・facebook使いこなし術(2011) ・ほんの1秒もムダなく片づく情報整理術の教科書(2015) など

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. スバルマークの方が似合う? 新型ダイハツ『ムーヴ』のスバル版にSNSも注目!
  5. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る