SDVの開発、OEMのアーキテクチャ構築を支援するコンチネンタル…マビーレCTO「機会をどこに設定するか」

コンチネンタル・オートモーティブグループ ジル・マビーレCTO
コンチネンタル・オートモーティブグループ ジル・マビーレCTO全 6 枚

11月中旬、コンチネンタル・ジャパン本社(神奈川県横浜市)にて、来日したコンチネンタル・オートモーティブグループのジル・マビーレCTOによるメディア向けラウンドテーブルが行われた。

◆何を制御するかではなく、何を得てどう構築するか

プレゼンテーション内でマビーレCTOは、コンチネンタルはモビリティの変革に伴い、ビークル・アーキテクチャに革命をもたらす要素技術は5つ、自動運転、クラウド・サービス、IoT、UXアプリケーション、そして共有型モビリティだと説く。

そうしたトレンドの中で、2026年までに36%の自動車がOTA能力を備え、2026年には3分の2のOEMがソフトウェア会社やシステム・インテグレーターとパートナー提携し、共通のソフトウェア・プラットフォームに基づく新車の台数は2031年までに今日の7%から35%と5倍に増え、同年にソフトウェアベースの機能やサービスは6400億ドル規模の市場になると予測している。その中で自動車は、複数のシステムが統合されたシステムの中で、個別にひとつのシステムを備えた移動体になる、という。つまりエンターテイメントやコミュニケーション、仕事にスマートホーム、ウェルネスなど、暮らしにおける様々のレイヤーを統合するクラウド・プラットフォーム・サービスと、インターネットを介してモビリティが繋がる、あるいは自動車というかモビリティも先に挙げたレイヤーのひとつになるという発想だ。

それを可能にするのがSDV(Software Defined Vehicle)で、SDVは購入時からライフサイクル終了時までソフトウェアによってアップデートされ続ける。購入当初から実装されていた電装&ソフトウェアに加えていくカタチで、ソフトウェア自体のアップデート・メンテナンスや、アドオンのソフトウェアによる機能拡張、さらに同じくソフトウェアによるサービス展開といった複雑性と機能の成長が、購入時にはなかった価値となっていくというのだ。

「よって我々のようなティア1のサプライヤだけでなく、OEMも他のサプライヤやスタートアップ企業、IT企業ともども、パートナーシップを通じて協業していくことが重要になります。弊社にはカスタマー・ソリューション・アーキテクトという専門家を置いて、顧客が革新的なプロジェクトを始めるにあたって、適切なアーキテクチャを選べるように、速い段階からフレームワークの決定を助ける手助けをします。

スマートフォンの業界でも、アップル、グーグル、サムソンなど自社ですべてやっているわけではありません。それに似て、アーキテクチャがあって、市場で提供されているものをオーケストラのように編成しカタチにしていくのです。車がスマホと異なる点は、安全性が重要であること。顧客OEMが路上で最高のセキュリティや安全性を備えたソリューションを定義できるよう手伝い、同時に(その先にある)自動運転のプロジェクトなどを準備を、低廉なコストで進められるようにすることです」

それは、単なるソフトウェア開発のコンサルティングを行うのも業務の一部とはいえ、ソフトウェアをレゴ・ブロックのように組み立て使ってもらうために、あくまでOEMごとのアーキテクチャー構築を助けるというのだ。

「ソフトウェアには、様々に異なるビジネスモデルがあると思います。販売するのはライセンスもあれば、機能にもサブスクリプションかオンデマンドか提供する形も異なりますし、メンテナンスもある。ビジネスモデルはそれぞれ異なり、機会をどこに設定してどう異なるか。設計段階でソフトウェアによって定義する領域はますます拡大しており、何を制御するかではなく、関連するプレーヤーがどのようなメリットを得られ、どう構成するかなのです」

◆クラウド・オン・デマンドを前提に

マビーレCTOは、SDVにおいてはハードウェアをどう制御するかではなく、ソフトウェアを供給するには、最初に全体的な制御そのものを「定義する」必要があるため、OEM顧客との協業の仕方自体が変わると強調する。


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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