「BATTERY JAPAN[春]2024~第16回[国際]二次電池展[春]~」で2月29日、テスラモーターズジャパンが「モビリティの発展からみる新たな二次電池の可能性」と題する講演を行った。
◆テスラ「Master Plan3」の概要
内容は、テスラが手がけるエネルギーストレージ(蓄電池)市場への取り組みを紹介するものだった。テスラは、グループの事業計画を「Master Plan」として適宜発表している。2023年4月には「Master Plan3」が公開された。その前のMaster Plan2は2016年の発表とかなり間が空いている。米国ベンチャーのくくりでスピード経営というイメージがあるが、彼らのミッションは10年単位でそれをトレースしていることになる。
Master Plan2では主にEV普及や自動車の技術革新に重きをおいていたが、Master Plan3では、脱化石燃料や地球規模の課題に取り組む方針を明確にしている。テスラは、脱化石燃料経済に移行することでトータルの投資や資源消費を抑えられるとして、240TWhの蓄電池、30%TWの再生可能エネルギー、1兆ドルの投資を計画している。
◆パワーウォールとメガパックでESS市場を狙うテスラ
EVエコシステムにおいて、車両バッテリーを自宅消費やグリッドへの放電といったV2Hは重要なアプリケーションのひとつだ。
同様に、電力事業者や他のOEMは、動いていないEVのバッテリーを分散電源とするVPP(Virtural Power Plant)の取り組みが活発化している。再生可能エネルギー電源においては、デマンドコントロールや電力の平準化の切り札になると目されているからだ。
実は、テスラは車両バッテリーのグリッド接続やエネルギーマネジメントに活用することには否定的な立場をとっている。Eテスラ車両にV2H機能を搭載することや、テスラ車を電源とするVPPには消極的だ。だが、住宅用、産業用のエネルギーストレージ(ESS)のVPPはむしろ積極的だ。各国でテスラESS導入が広がっているという。