AGCがモーター部品に新提案、高耐圧・耐熱に優れた極薄プラスチック素材…人とくるまのテクノロジー展2024

モーターの鉄心に巻く銅線の絶縁に使うスロットライナー。「mPEEK」「mPPS」は従来品より薄くても高耐圧・抗耐熱
モーターの鉄心に巻く銅線の絶縁に使うスロットライナー。「mPEEK」「mPPS」は従来品より薄くても高耐圧・抗耐熱全 16 枚

人とくるまのテクノロジー展2024でのAGCのブースは、ガラス製品と関連するケミカル製品をメインに展示を行っていた。その中から、モーターコイルに使える新しい絶縁体(スロットライナー)と遠赤外線透過ガラスを取り上げる。

独自のフッ素加工を施した「mPEEK」「mPPS」

モーターのステーター鉄心にコイルを巻き付けるとき鉄心とコイルを絶縁する必要がある。これをスロットライナーというが、古くは紙などが使われていた。現在はPEEK、PPSといったプラスチック製品が使われている。薄くて、加工がしやすく、高い絶縁性と耐熱性を持つからだ。AGCでは、PEEKやPPSといった素材に独自のフッ素加工を施した「mPEEK」「mPPS」というエンジニアリングプラスチック製品を持っている。従来型のPEEK、PPSよりさらに高い絶縁特性を持つ素材だ。150ミクロンの厚さで100度以上の温度になっても2000Vから3000Vの高い絶縁性能(放電開始電圧)を持つという。

AGCの「mPEEK」「mPPS」スロットライナー

電気特性や耐熱性が高いということは、同じ耐圧ならライナーをより薄くすることができる。EV技術において、充電環境が整ってくると、効率をよくするため動作電圧を400V前後から800Vに引き上げる動きがある。現在はプレミアムEVやスポーツEVなどでの採用が広がる800Vシステムだが、中長期ではコストメリットも期待できる高圧化は普及モデルに浸透していくかもしれない。

AGCは、新しいEVモーターのスロットライナーとして「mPEEK」「mPPS」を提案している。一般的なPEEKやPPSでも絶縁耐圧はkV単位なので、800Vシステムでも問題なく使えるが、素材を薄くできる「mPEEK」「mPPS」は、モーターの高出力化・高効率化が期待できる。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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