水素カローラ、無念のリタイヤも「地に足つけてモータースポーツ基点の車作りを」

スーパー耐久第4戦を走った水素エンジンカローラ
スーパー耐久第4戦を走った水素エンジンカローラ全 5 枚

水素やカーボンニュートラル燃料をはじめ、サステナブルな車両開発の実験場としても注目される「スーパー耐久(※)」。トヨタは、モリゾウこと豊田章男会長が率いるルーキーレーシングとして、7月28日に大分県「オートポリス」で開催された第3戦決勝に出場。液体水素エンジンで走るトヨタの『GRカローラ』は60周、カーボンニュートラル燃料で走る『GR86』は129周とそれぞれ周回を重ねたものの、いずれも無念のリタイヤとなった。

※ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE 第3戦 スーパー耐久レース in オートポリス

前戦、5月におこなわれた富士スピードウェイでの24時間耐久レースでは、水素カローラはブレーキシステムにトラブルを抱えリタイヤ。「完走」を掲げ挑んだ本戦では、液体水素をエンジンに送るポンプの動作に使用する48Vの電源システムが走行中に停止。約1時間、ピットでの作業に費やした。またスーパー耐久の中では最も気温が高い真夏のオートポリス戦ということもあり、「思ったようには周回が伸びなかった」(GAZOOレーシングカンパニー 高橋智也プレジデント)。結果、チェッカーを受けることなくピット内でレース終了を迎えた。

スーパー耐久第4戦を走った水素エンジンカローラスーパー耐久第4戦を走った水素エンジンカローラ

富士で露見したブレーキシステムの課題は「うまく克服」(高橋プレジデント)し臨んだオートポリス。だがレースの現場では、これまで予想しなかった問題や課題が起こっているという。「今までは水素(エンジン)が一番厳しいと思っていたが、ポンプの耐久性など水素が完成に近づけば近づくほど、他のところが厳しくなる、ということがこれからも起こってくる。48Vという今までのトヨタの車で使っていなかった電源系を今回持ち込んでいる。そこで何が起こるかっていうのは正直、想定できない。今後何が起こってくるんだろうというのをちゃんと色々なところで見ていかなきゃいけない」(同)

ただトヨタはかねてより「レースは実験場」として、極限の状況で壊して直すことを繰り返し、市販化に向けて技術を磨き続けることを目的にスーパー耐久への参戦をおこなっている。高橋プレジデントは、「(富士戦での)リベンジはできていない。だが、お客様にお届けするというのをゴールとすると、一戦一戦いろいろあるけど、そこで一喜一憂するんじゃなく、しっかり地に足をつけてこのモータースポーツ基点の車作りをやっていくということが大事」とあくまで前向きだ。

次戦以降の参戦計画は、今回の課題を解決し改良を加えた上で決定する。スケジュール通りなら9月7日、ツインリンクもてぎで開催される第4戦を走ることになる。

《宮崎壮人》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車内が即ネット空間に! 新型USB型Wi-Fiルーターがドライブを変える[特選カーアクセサリー名鑑]
  2. 狭い道! 制限1.9mだが何かがおかしい…東京都小金井市
  3. 【スズキ ジクサー250 試乗】250ccでダントツにリーズナブル! この手軽さと奥深さはスズキ随一の仕上がりだ…伊丹孝裕
  4. 狭い道! 制限1.3m、通れる車がなくなった都市計画?…東京都世田谷区
  5. レクサス、次世代スポーツコンセプトを世界初公開
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る