【ホンダ フリード 新型】ヴェゼルのシステム採用で4WDが大進化! 意識させないのに抜群の安定性

ホンダ フリード AIR(4WD)
ホンダ フリード AIR(4WD)全 15 枚

発売から1か月で約3万8000台もの受注に達したというホンダの人気ミニバン、新型『フリード』。個性をより高めた「クロスター」や、力強さと燃費性能を両立したハイブリッド「e:HEV(イーエイチイーブイ)」などが高評価のポイントとなっている。開発においてはホンダらしい走行性能も重視されたというが、中でもこだわったひとつが「4WD」だ。

詳細画像:ホンダ フリード 新型の4WD

新型では2WDと4WDが設定されており、4WDは先代と比較し大きく制御が変更されたという。開発担当者に詳しく聞いた。

◆リニアに後輪のトルク制御をおこなう4WDに

ホンダ フリード AIR(4WD)ホンダ フリード AIR(4WD)

本田技研工業 ICE完成車開発統括部 車両開発三部 シャシー開発課 アシスタントチーフエンジニアの佐々木拓郎さんによると、先代と比較して4WDが入る領域、タイミングが増えており、駆動力をより細かく制御できるよう進化したという。この4WDシステムについては『ヴェゼル』のものを採用した。車重やディメンジョン、タイヤサイズなどが違う部分は制御にも手を加えているが、設定そのものはほぼヴェゼルのものと同じなのだとか。

では新型フリードならではの4WDのセッティングで特徴的な部分とは。佐々木さんは「冬の雪上性能」だという。「これまでのホンダの4WDは滑ってから働き始めて、最後の最後で助けてくれるぐらいのノリ。しかし今回の4WDは積極的に踏んでいきたくなるような感じです。雪道のカーブを走らせていると、グイグイ曲がっていくような本当に楽しいクルマに仕上がっています」と説明する。

ホンダ フリード AIR(4WD)ホンダ フリード AIR(4WD)

基本的には常に4WDでの走行ではなく、必要に応じてリアにトルクを配分する。先代では最大で40%までしか配分しなかったが、新型では50%まで配分する。これが大きな違いになっているとのこと。

パワーユニット担当の宮田智さん(四輪事業本部 四輪開発センター パワーユニット開発統括部 パワーユニット開発二部 ドライブユニットシステム開発課 アシスタントチーフエンジニア)は、「先代のシステムをキャリーオーバーでお客様に出しても不満のないシステムではあったのですが、駆動力、リアデフで受け止めるトルクの制御の方式を変えたことがポイントです。これまでは階段状に、例えば極端ですが100Nm、次は200Nmというようなイメージで(トルク配分を)変えていたんです。その時のステップ的なモーションがクルマの挙動を一瞬乱してオーバーステアになるような場面があり、不安に感じる人がいるのではないかと。そこでリニア制御、きれいに繋ぐようにすることで、雪上みたいな不安定な路面を走っていても、自分の運転スキルがひとつ上のランクに上がったかのように運転できるようにしたのが狙いであり、また難しかったポイントです」と話す。

◆高速直進性で効く4WDのメリット

ホンダ フリード AIR(4WD)ホンダ フリード AIR(4WD)

実際に交差点などで曲がる際にもリアにトルクがかかっているはずだが、全くわからず、素直に曲がっていく印象だ。

宮田さんは、「(4WDであることを)目立たせようとすることもできるんですが、そこで違和感に繋がってしまうことが当然あります。FF(前輪駆動)がベースでリアを主動的に使うとフロントが上がるモーションが出てしまいます。そこでアクセルのオンオフをすると酔いやすくなってしまう。ですから配分比率を高負荷ではないところでもきれいにつなげていくことでクルマ全体を安定させるという、そのバランスを見ながらセッティングをしています。それが上手く出来ないと違和感に繋がったり、雪上の走行安定性にも出てしまったりする。とにかくきれいにクルマが動くことを意識しながらトルク配分を煮詰めていきました」と説明する。

さらに、高速走行時などの直進安定性も意識し、アクセルオンの状態では常にリアにも駆動力がかかり、例えば横風の影響も減らすようにも意識しているという。

「従来はフィードフォワード(予測制御)をアクセルと舵角センサーなどだけで、リアのトルク配分の制御の決め打ちをしていましたが、それだけだとオーバーステア、アンダーステアが出る傾向になるので、そこに4輪全部見ているABSの車速センサーやヨーレートセンサーなどを加えました。そこで理想のニュートラルステアみたいな旋回に対して少しずれている時に、リアをちょっと強く押し出してあげるとか、逆に少なくしてあげると良いなどのフィードバック制御も入れてクルマ自体を安定させています」

ホンダ フリード AIR(4WD)ホンダ フリード AIR(4WD)

高速の直進安定性でも4WDにメリットがあるという。

「フロントはエンジンが搭載されトランスミッションがあるのでどうしてもセンターがずれて、ドライブシャフトが不等長になってしまいます。ですから剛性差があって真っ直ぐ走らせるために剛性比を合わせる必要があります。新型フリード4WDのリアデフは真ん中に置きました。そうするとドライブシャフトは等長でしかもステアリング機構がないので真っ直ぐに常に押し出してくれるようになります。ですから直進安定性は4WDの方が抜群にあると感じてもらえるでしょう」

実際に4WD仕様を走らせて、あ、4WDだと意識させるシーンはほとんどない。しかし、2WDと乗り比べると安定感はとても高く感じる。この“意識させない”が重要で、開発陣がここに着目したことがとても良くわかった。それが自然な走りに繋がり、ドライバーや乗員に安心感をもたらすのだ。それこそがまさに新型フリードが狙ったポイントなのである。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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