バッテリー上がりで立ち往生!? JAFデータが示す驚異の発生率と対策法~Weeklyメンテナンス~

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クルマのトラブルを防ぐ意味でバッテリーの日頃のメンテナンスは欠かせない。その裏付けとなっているのがJAFの出動回数、バッテリーが原因の救援は常に上位を占めているので要注意だ。

◆JAF出動率の3割を超える“バッテリー上がり”を甘く見るな!

JAFが毎年発表しているロードサービスの出動理由で常に上位を占めるがバッテリーの過放電、いわゆるバッテリー上がりだ。2023年のデータでは一般道では全体の救援の34%を超える比率になっていることからも、いかにバッテリー上がりが多いかがわかるだろう。特に冬場の低温下で朝いちばんのエンジンの掛かりが悪い、セルのまわりが怪しい、そんな懸念が少しでもある場合にはバッテリーのメンテナンスを実施しよう。

そもそもバッテリーはエンジンを始動する際に用いるセルモーター、さらには灯火類、ワイパー、車内のAV機器などの電装全般に電力供給している非常に重要なユニットだ。当然ながらバッテリーが不具合を起こすとエンジンの始動が困難になってしまう。ドライブ先でバッテリーが不具合を起こして、エンジン始動が不可能になってしまった場合にはレスキューを呼ぶ以外に手が無くなってしまう。もちろん愛車での旅の続行は難しくなることから、大きくスケジュールの変更が強いられるのでがっかり感も大きいだろう。

バッテリーはクルマの寿命に比べてかなりライフサイクルが早め、つまり車両に比べると比較的早期に劣化してしまうと考えておいた方が良いだろう(使用環境によって大きく劣化の進行具合は変わってくるが、2年~7年程度が寿命の目安)。特に夏場の高温、冬場の低温はバッテリーのダメージを与えやすく劣化が進むケースが多いのだ。徐々に劣化が進み電力の容量が低下、セルモーターを回すために必要な十分な電力が供給できなくなるとエンジン始動が不可になるというわけだ。

さらにバッテリーのトラブルは予見するのはユーザーレベルだとかなり難しい。それは前日まで元気にセルモーターが回っていても、翌日の朝に急に始動不可になるケースもある。そのため使用する期間(車検のタイミングなど)を決めて予防的にバッテリー交換をしておくのもひとつのトラブル回避策となるだろう。カー用品店などでバッテリーの電圧やCCA値(CCA=コールドクランキングアンペア:新品時からの低下を見ることで劣化の状態がある程度判断できる)を計測してくれるサービスもあるので、劣化の具合を推測することもできるので利用してみても良いだろう。

しかし、ドライブ先でバッテリーを上げてしまったら何らかのレスキュー方法で始動してバッテリー交換(またはバッテリーの補充電)が可能な自動車整備工場やカー用品店、ガソリンスタンド、ホームセンターなどまでは移動したいもの。そこで応急的にエンジン始動を実施するためにレスキュー方法を憶えておこう。

◆もしもに備えて積んでおきたいアイテム紹介

手軽に利用できるのはジャンプスターターと呼ばれるポータブルバッテリーだ。充電式のバッテリーでモバイルバッテリーのようなスタイルで、短い時間ではあるがエンジンを始動できるほどの大電流を供給できるのが特徴。近年は多数の容量が選べるほど製品ラインアップが充実しているため愛車に合わせてモデルを選べる。

その際に目安になるのは純正での搭載バッテリーのサイズ。バッテリーのCCA値(ちなみにCCA値は一般的な乗用車では100A~600A程度)を確認して、それ以上の供給能力を備えたジャンプスターターを用意すれば理論上はエンジン始動が可能になるというわけ。ジャンプスターターは充電式バッテリーなので普段はモバイルバッテリーとしても利用できるモデルもある、常に満充電にして車載しておけば万が一の際にも安心だ。

一方、もうひとつの代表的なレスキュー方法がブースターケーブルを使って他のクルマのバッテリーと愛車のバッテリーを接続してエンジン始動する方法だ。ジャンピングと呼ばれる手法だが、救援側のクルマのバッテリー容量さらには接続するブースターケーブルの太さ(許容電流値)がセルモーターの起動には影響する。あまり細いブースターケーブルだと供給できる電流が少なく、エンジン始動できないケースもあるからだ。救援用のブースターケーブルをあらかじめ用意するならば、自車のエンジン始動に必要な電流量が流せるスペックのケーブルを用意しておくことが必須だ。

ジャンプスターターの用意も、救援車両も用意できない場合は、最終手段としてロードサービスのレスキューを仰ぐことになる。前出のJAFや自動車保険に付随するロードサービスを依頼して救援を待つ。ロードサービスではジャンプスターターでエンジン始動を試みてくれるが、それでも始動できない場合はレッカー移動になる。しかし、そうなってしまうことの無いように日頃からバッテリーの劣化のチェックや補充電などでメンテナンスをしておくのがトラブルを回避するための自分でできるアプローチだろう。

突然のバッテリートラブルはドライブを台無しにしてしまう。しかしトラブルが発生しても応急的な対処方法を知っておけばリカバリーできる場合も多いことがわかった。ドライブに出かける際には不意のバッテリートラブルに対処できる準備を整えておこう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

《土田康弘》

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