「EVはまだ早い」はもう古い? テスラ・モデル3が“EV不安”を払拭する理由…いいクルマアワード2025

EV賞のプレゼンターを務めたートアフターマーケット活性化連合 代表 でオートバックスセブン 相談役 住野公一氏(左)とテスラジャパンの大塚洋亮氏
EV賞のプレゼンターを務めたートアフターマーケット活性化連合 代表 でオートバックスセブン 相談役 住野公一氏(左)とテスラジャパンの大塚洋亮氏全 7 枚

今年で9回目となる「いいクルマアワード」の表彰式が2月26日、東京ビッグサイトで開催中の第22回国際オートアフターマーケットEXPO 2025の会場に隣接するレストランにて行われ、EV賞にはテスラモデル3』が選出された。

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◆EV危機は現実なのか? 進化を続けるテスラの戦略

「いいクルマアワード」は自動車の修理・整備・販売・買取り等に携わる方(アフターマーケット事業者)の視点で、「いいクルマ」を選び、表彰させて頂くアワードで、メーカー(製造側)視点ではなく、アフターマーケット事業者がプロの視点で「いいクルマ」を選ぶことにより、一般ユーザーにとっては非常に興味深くまた参考になる結果として注目されている。

テスラジャパンの大塚洋亮氏テスラジャパンの大塚洋亮氏

2024年に引き続き設定されたEV賞を受賞したのはテスラ・モデル3。表彰式ではテスラジャパンのマーケティングマネージャーである大塚洋亮氏が登壇した。

EV賞のプレゼンターを務めたのはオートアフターマーケット活性化連合 代表 でオートバックスセブン 相談役 住野公一氏より賞状とトロフィーが授与された。

テスラ・モデル3は「シンプルなデザイン」、「最先端のデザインが楽しめる」、「かっこいい」といったデザイン面が評価されたのに加え、「アクセルべた踏みでクビが痛くなるような加速力」、「サーキットで楽しめる」といったEVならではの動力性能の高さ、「クルマをアップデートできる」、「最先端のテクノロジー」、「自動運転」といった先進性や「価格、性能、品質のバランスがいい」、補助金の活用で400万円台で購入できる点も評価された。

日本でのテスラマーケティングを担当する大塚氏に、モデル3のことだけでなくテスラの今やこれからについてもお伺いした。

---:デザインの評価が高かったのですが、大塚さんはどのような印象をお持ちですか。

「今までも流線型のきれいなボディーラインを出していましたが、今回のモデルチェンジでさらに空気抵抗を意識したデザインに仕上がっているのが特徴的なのです。空気抵抗であったりエネルギーの効率化、これを会社としてとにかく細かいところまで、それこそ数W単位まで追い込んでいて軽量化も推し進めています。それらによって効率的なEVとしてより進化しました。テスラの開発において効率の突き詰め方は本当に圧倒的です」

---:もちろんEVらしさも評価されていますね

「テスラは最終的にはフルセルフドライビングと言われる自動運転を目指した設計になので、クルマとしてのパフォーマンスを突き詰める必要があります。つまりそうした走る、曲がる、止まるといった性能を突き詰めてハードウェアとしての完成度を高めないと、フルセルフドライビングに到達できないのです」

---:アメリカだとモデル3でどれくらいのセルフドライビングが可能なのでしょう

「テスラの場合、レベル分けということだとハードウェア要件を満たしていないといいますか、カメラでのみ認識してますので、レベル2にはなります。しかしもうすでにセルフドライビングはかなり高いレベルに達していて、ご自宅から出発してスーパーマーケットの空いている駐車場に自動的にも駐車するところまで可能です。さらにはスーパーマーケット買い物を終えて出てきて、クルマを呼び出す操作をすれば駐車場から勝手に出てくるところまで可能です。ちょうど昨日中国でも専用機能がローンチしまして、今はカナダ、メキシコの一部でもリリースされ始めてます」

---:日本も準備中と考えていいのでしょうか。

「まずはアメリカで開発が進んでいますので、左ハンドルベースということになるのです。右ハンドル用にするのに制御を反対にすればいいというほど簡単ではないのです。ただ、今テキサスの工場にあるボルテックスと言われるNVIDIAの高性能チップを使ったシステムにとつもない投資額をつぎ込んでいます。現状でもこのシステムを全部稼働させると、地元の電力会社から怒られるぐらいの電気使ってしまうレベルの規模です。もうとにかくひたすら学習させて、いろんなシチュエーションに耐えられるような状況にしようとしています」

---:クルマを作るだけじゃなくてそのサーバーというかトレーニングセンターっていうのもAIのディープラーニングが結構かなり力を入れているということなのですね。

「テスラ車からはいろいろなデータが取れるのですが、全てのデータを取ってしまうと、必要のない情報までも収集することになってしまいます。今は北米を中心に必要な情報だけフラグを付けてそのデータ取りしていて、なにかトラブルが起きた時にそれはコンピューターが間違ってたのか、それともユーザーが間違ってた……というようなことを集めながら学習させています」

---:今はどれくらいのクルマからデータを集めているのですか。

「今現在、走っているクルマは600万台を超えています。納車数でいえば700万台を超えていますので、これらから集めたデータはかなり膨大です。そこから集められるデータというのは圧倒的なんですよね。今後はさらに小型のクルマであったり、ステアリングの付いてないロボタクシーなども登場するのですが、そうしたなかでもこのAIフルセルフドライビングという技術にかなり注力しています。モデル3もロボタクシーまでアップデートできうるハードウエアを想定して設計しています」

---:テスラは最近は試乗もできるテスラストアを増やしてきているのですよね。

「現在、販売拠点に関しては13店舗になっています。サービスに関してはテスラサービスセンターが16拠点、これは直営という形になります。そのほかにテスラ認定工場として委託している拠点が44カ所あります」

---:出張サービスも行っていると耳にしたのですが。

「はい、モバイルサービスと言いまして弊社スタッフが自宅にお伺いしてサービスを行うものです。物理的な故障や交換などは難しいですが、電子的なことでしたら通信を利用してある程度、これはスピーカーの断線程度までの診断ができますので、必要なパーツなどを持ってご自宅にお伺いします。オーナーが在宅されていなくてもアプリで予約しておいていただき、遠隔でキーロックを解除して頂いて……、という感じで作業ができます。今までのクルマの修理ですと、ディーラーに出向いて故障診断をして、帰宅してまた別の日に入庫してとなりますが、テスラの場合はそうした面倒なことが非常に少ないのです。私自身、8年の間に何台か乗っていますが、サービスセンターに行ったのはメインコンピューターのサービスキャンペーンのようなもので一度行っただけです」

---:テスラ専用の充電器であるスーパーチャージャーの設置数は増えているのですか。

「2024年の年末の時点で125カ所、638基になりました。今後も年次50%程度のペースで増やしていこうという目標です」

---:今もスーパーチャージャー無料使用のキャンペーンがついていますよね。

「はい。モデルYの在庫車、モデル3の在庫車またはカスタムオーダーを購入し3月31日までに納車を完了した場合、スーパーチャージャーを利用した充電料金が5年間無料になるキャンペーンを展開しています。5年間エネルギー代が掛からずに乗れるというのはかなり大きいですね。今まで多くのガソリン代を払っていた方は、とくに恩恵を感じると思います」

---:テスラに乗るとコストが減るというのは、分かりやすいですね。

「そうですね。じつはアメリカでは保険事業もスタートしているのです。明らかに前方衝突警告が鳴る方が多いとか、急ブレーキの回数が多いとか、そうした方の保険料が高くなるようなシステムです。現状のリスク分散型をさらに進歩させたような感じですね」

---:今後はどのような展開になるでしょうか。

「アメリカでは本当にいろいろ進んでいて先ほどの保険だけでなく、電気を売ったりもしていますが、日本ではまずはクルマを売っていくということを大切にしています。まだ名前は決まっていませんがモデル3よりも小型のクルマも登場します。あとはソニーホンダモビリティさんがテスラのスーパーチャージャー方式を採用してくれることが決まっていて、インフラビジネスも進めていきたいとは思っています。北米では9割9分がテスラの充電規格を使っています」

---:改めて話をお聞きするとテスラの先進性は一歩も二歩も前に進んでいることが確認できました。今後、テスラはどのようになっていくのか? 世界のEV事情がどう変わるのか? じつに興味深いところです。本日はありがとうございました。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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