日本攻勢をかける中国BYD、新型SUV『シーライオン7』の価格競争力と先進性は脅威となるか

BYD シーライオン7
BYD シーライオン7全 14 枚

BYDオートジャパンは、電動SUVの『シーライオン7』を発表し、4月15日より販売を開始した。価格は2WDで495万円から。

シーライオン7は、BYDの日本導入BEVシリーズ第4弾で、BYDの「海洋シリーズ」のデザイン的特徴を持つ電動SUV。後輪駆動(RWD)の「SEALION 7」と四輪駆動の「SEALION 7 AWD」の2種類が用意されている。特に四輪駆動モデルは、4.5秒で100km/hに達する加速性能と、540kmの航続距離を誇る(RWDは590km)。

最新のバッテリー熱管理システムにより、優れた充放電能力を備えるBYD自慢の「ブレードバッテリー」を採用。さらに、これらのバッテリーを隙間なく、効率よく車体構造の一部として搭載する技術「CTB(Cell to Body)」の採用により、高い安全性と効率性、快適な室内空間を実現している。

◆「競合車はない」ほぼ同サイズのモデルYやレクサスRXより安く

そもそもシーライオン7はどういうポジションなのか。BYDオートジャパン ネットワーク管理部トレーニングマネージャーの鈴木聡さんは、「あまり競合車があるという意識は持っていません」という。ただし、「中国市場において、SUVが多く売れていることから、BYDとしてもそこに積極的に参入しようと考えて開発しました」とコメント。

そのサイズは全長4830mm×全幅1925mm×全高1620mm、ホイールベース2930mmで、テスラ『モデルY』の4800mm×1920mm×1625mm、2890mm、日本車でいえばレクサス『RX』の4890mm×1920mm×1700mm、2850mmとほぼ同じサイズだ。

しかし価格面ではモデルYが558.7万円から(RWD)、レクサスRXが668万円から(RX350)なのに対しシーライオン7は495万円からなので価格競争力は高い。

鈴木さんは、「基本的には『シール』がベースとなっていますので、走行性、快適性、機能性はしっかりと作り込まれています。そのうえで、シーライオン7ではクアルコム社のスナップドラゴン8155チップという高性能なものを初採用しましたので、モニターのUIや車両設定方法もこれまでとは変わり先進性を感じてもらえるでしょう」とのこと。その一例はフロントのモニターに前の車両のアイコンが映るようになったことだ。実は、「中国では当たり前なのですが、日本仕様では若干異なってこれまではなかったんです。でも今回ようやくそれが出来るようになりました」と話す。

こういった先進性の表現は、「一般のお客様からBYDはテクノロジーの会社だと思われているものの、いまひとつそれが見て伝わらなかったのです。しかし今回からはそこはしっかり打ち出していきます」と述べ、CMでも“すべては技術で両立する”とアピールしており、「バッテリーメーカーとして創業し、様々な部品も内装化して自分たちで作っている。その技術力を先進性としてアピールして、ビジュアライズ化していくことが今後のポイントになるでしょう」と語る。

◆「フラットショッパー」やファミリー層にアピール

シーライオン7は快適性の高さも売りのひとつだ。シールと比べてもシーライオン7はSUVになったことで車高が高くなり、ヘッドクリアランスもシールよりもあるため、背の高い人でも乗降性は楽になった。同時に後席の居住空間も床面がフラットになることから「他のクルマにはない広さを感じてもらえるでしょう」とアピールする。

ではこのシーライオン7のターゲットはどういう人たちなのだろうか。


《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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