ロボタクシーとロボトラック:ODDと規制が左右する“自動運転ビジネス”の勝敗[インタビュー]

ロボタクシーとロボトラック:ODDと規制が左右する“自動運転ビジネス”の勝敗[インタビュー]
ロボタクシーとロボトラック:ODDと規制が左右する“自動運転ビジネス”の勝敗[インタビュー]全 2 枚

来たる5月16日、オンラインセミナー「グローバル自動運転開発競争と法体系の新秩序~Waymo/テスラ/ロボトラック、ロボバス、配送ロボットなど~」が開催される。セミナーに登壇するのは、Go2Marketing LLC 代表社員/AV-Expert 主宰である永井達氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.自動運転の定義の再確認
(1)人が操作の主体となる先進運転支援システム(ADAS)とロボットが全てを操作する自動運転システム(ADS)
(2)自動運転、4つの適用領域
2.適用領域別の自動運転
(1)ロボットタクシー:着実に進化するWaymo。もがくTesla。移動手段に起こるディストラプション
(2)ロボットトラック:レベル3を飛び越え、レベル4のAV貨物輸送実用化に進む米中大陸の実態
(3)ルート中心AV ロボットバンとバス:カルフォルニアDMVエンゲージメントレポートに見るAV事業者の実力比較
(4)配送ロボット:AVライド回数に見る米欧中の導入進捗の比較
3.自動運転をめぐり再構築される世界法体系の新秩序
(1)トランプ政権の動向
(2)米中デジタル冷戦の進展とEU産業緊急救済計画
(3)AVめぐり再構築される世界法体系の新秩序
(4)自動車安全基準の近代化:AVIA提案と英国AV法
4.質疑応答

セミナーの開催に先立ち、セミナーの見どころを永井氏に聞いた。

テスラ「ロボタクシー」FSDの限界と法的ハードル

2025年6月にテスラがテキサスで始めるとされる「ロボタクシー」サービスについて、イーロン・マスク氏は本年中の市場投入を断言するが、その実現性には疑問が残る。現在テスラのFSD(フルセルフドライビング)は人間のドライバーが主体的に操縦する、SAE基準のレベル2+またはレベル3相当である。

それは、Waymoなどが開発に取り組むシステムが主体的に運転するドライバーレス自動運転とは異なる。カリフォルニア州DMVから得た許可も、社員輸送を目的としたもので、一般客を対象にした有料運行は想定されていない。

仮にサービス開始となっても、車両には監視員が同乗し、システムはハンズオフ・アイズオフで運転するが、あくまで限定区域内での試験運行に留まると予想される。FSDアンスーパーバイズドが稼働するのは最新のHW4.0を搭載した車両のみであり、旧モデル(HW3.0)は対象外。マスク氏は無償アップグレードを約束しているが、その手法や資金源は明確にされておらず、リコール規模の対応が必要となる可能性も指摘されている。

Waymoが切り拓くロボタクシーは次のフェーズへ

Waymoはすでにアリゾナやサンフランシスコでシステムが主体的に運転するドライバーレス自動運転のロボタクシー運行を実現しており、技術的にも実績がある。人々の移動による消耗時間の削減を目標とし、ドライバーレスの移動サービスの普及によるライフスタイル革命を実現するための戦略を採っている。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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