自動運転車の事業活用調査にみる“車内サービス”のリアル…国際経済研究所 特任研究員 小林浩 氏[インタビュー]

自動運転車の事業活用調査にみる“車内サービス”のリアル…国際経済研究所 特任研究員 小林浩 氏[インタビュー]
自動運転車の事業活用調査にみる“車内サービス”のリアル…国際経済研究所 特任研究員 小林浩 氏[インタビュー]全 2 枚

来たる7月4日、オンラインセミナー「【誰も教えてくれない】自動運転車を使った事業化の意向と車両に求めること(サービス業界事業者編)~現場経験豊富な各プレイヤーが捉えるビジネス機会とは~」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社国際経済研究所 特任研究員の小林浩氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.最近の気になる実証実験、実装の動き
2.事業者から見た自動運転車の印象、イメージ
3.自動運転車の事業での活用意向
4.事業に活用するメリット、不安や懸念
5.具体的な活用イメージ
6.車両に求めること
7.提供するサービスの質と想定価格
8.事業に取り入れるかの判断のポイント
9.質疑応答

セミナーの開催概要はこちらから。

開催に先立ち、セミナーの見どころを小林氏に聞いた。

社会変革には事業者視点が不可欠

自動運転技術の進展に伴い、その事業活用への関心が高まっている。

株式会社国際経済研究所 特任研究員の小林浩氏は、「自動運転車を消費者がどう捉えるか」に関する研究を重ねてきた。ただ一方で、社会変革は消費者の要望だけでは起こらず、それに対応する事業者の存在が不可欠だ。

そこで小林氏は、サービス業界の事業者に自動運転車を使った事業化の意向と車両への要望をヒアリングし、報告書としてまとめた。本稿では、その分析結果と考察を小林氏に聞きながら、自動運転車両を活用した新たなサービスのあり方を考察する。

調査対象は、飲食、小売、医療、教育、エンターテイメントなど広範な業種の経営判断や事業企画に関与する責任者層に限定された。例えばレストランの場合、フロアで配膳を担当するスタッフの意見よりも、経営判断に関わる層の意見が重要であるとの考えからだ。特に医療分野では、大掛かりな機材を必要としない医師に絞るなど、現実的な事業展開を念頭に置いた対象者選定が行われた。

事業者の期待:新たなビジネス機会と効率化への展望

インタビューに応じた事業者の多くは、自動運転技術の社会実装に対し肯定的な見解を示したと小林氏は述べている。具体的には、「実用化してほしい」「みんなの願いだ」「選択肢が広がるし、あるに越したことはない」といった声が聞かれたという。人手不足の解消や地域経済の活性化といった課題解決への期待も表明された。

消費者側のメリットである移動時間の個人時間への転換や、免許返納後の高齢者の移動手段としての可能性も指摘された。一方で、安全性への不安の声もそれなりに多く、また、低速走行による周囲への影響といった社会受容性に対する懸念も少数ながら存在した。

自動運転車の事業活用について「活用を検討してみたい」と回答した事業者は、全体の約4割に達した。業種別では、カフェやバーといった業態で活用意向が平均を上回り、比較的簡便な飲食提供サービスとの親和性が示唆された。

注目すべきは、消費者ニーズが高い一方で、事業者側の意向が相対的に低い分野の存在である。例えばマッサージサービスは、消費者側の要望は非常に多いものの、事業者側からは車内での施術は容易ではないという意見が多く、消費者ニーズとの間にギャップが存在する可能性が示唆されたと小林氏は述べている。

コンビニやスーパー、アパレルといった小売業も、トヨタの「イーパレット」が初期コンセプトでショッピング利用を提示していたにもかかわらず、事業者側の活用意向は平均(約4割)を下回る約3割に留まった。これについて小林氏は、車両開発側の想定と事業者側の認識にギャップがあるのではないかと懸念を示した。

活用意向が高い業種としては、カフェ・喫茶店、バーに加え、スポーツジムやエステ・ネイルサロンが挙げられた。これらは顧客側が時間を捻出しにくいサービスであり、移動時間を活用したいというニーズと合致すると小林氏は見ている。また、事業所の展開規模が大きいほど活用意向が高まるという傾向も確認された。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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