三菱重工業は7月2日、防衛省海上自衛隊向け3900トン型護衛艦の命名・進水式を長崎造船所長崎工場(長崎市)において実施した。進水した艦は、2023(令和5)年度に発注された3900トン型護衛艦「もがみ」型の11番艦で、「たつた」と命名された。
艦名は奈良県生駒市付近を流れる大和川の支流「竜田川」に由来。艦艇が進水する際に防衛省では、その艦艇に対して命名(命名式)を行ない、その後、造船会社側が進水式を実施する。護衛艦の名称は「天象、気象、山岳、河川、地方の名」を付与する。たつたは今後、船体・機関・電気・武器などの艤装工事を経て、2026年度中に防衛省に引き渡される予定だ。
もがみ型は、コンパクト化・省人化・多機能化をコンセプトにした、従来とは一線を画す護衛艦で、ステルス技術を応用した外観形状を有している。知能化・システム化技術を活用した統合管制システムの導入により、従来の艦艇の約半数の乗員で運用できるという。将来にわたる機能・装備の拡張性を備えており、今後増大する平時の警戒監視に加え、有事における対潜戦、対空戦、対水上戦といった多様な任務での活用が期待される。
もがみ型の進水は、長崎工場で2024年12月に実施された10番艦「ながら」に続くものだ。同型艦は三菱重工業長崎造船所長崎工場と三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場で建造されている。1番艦のネームシップ「もがみ」は長崎工場で2022年4月28日に引渡式が行なわれ、その後就役した。8番艦「ゆうべつ」が2025年6月19日に三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場で引き渡されており、9番艦「なとり」は2024年6月24日に長崎工場で進水し、艤装工事中だ。
三菱重工グループは、陸・海・空にまたがる防衛装備品事業を一元的に運営し、技術的シナジーを発揮するなかで、機能・性能ならびにコストパフォーマンスに優れた最新鋭の艦艇を開発・設計・建造し、就役後の維持整備および能力向上にも積極的に対応する、としている。今後も“トータルシップインテグレーター”として、省人化や無人化、ライフサイクルコストの低減、早期装備化といった顧客の抱える課題に応え、従来の枠組みにとらわれない新しい護衛艦の開発に注力していく方針だ。
たつた概要
艦番号:11
基準排水量:3900トン
全長:133.0m
全幅:16.3m
深さ:9.0m
喫水:4.7m
機関形式:CODAG、2軸
馬力:7万ps
主要装備:62口径5インチ砲(1基)、SeaRAM(1基)、遠隔管制機関銃(2基)、デコイ発射装置、SSM装置、VDS、TASS、水上発射管(2基)、対機雷戦用ソーナー、USV、UUV、簡易型機雷敷設装置、処分艇、戦術データリンクシステムLINK22、多機能レーダーOPY-2、光学複合センサー、哨戒ヘリコプター(1機)、VLS装置、洋上給油装置、フェンスタビライザー
乗員:約90名