トヨタ『bB』の音を熟成させ続ける矢吹さん、前席まわりにパワーアンプなどを集中させる独自レイアウトでレベルの高いサウンドを手に入れた。フロントスピーカーにお気に入りのユニットを選んで、広島県のcar audio factory K-soundの手により3ウェイを完成させた。
◆好みのサウンドを奏でるユニットを組み合わせ
Aピラー&ダッシュに中高域用の2ウェイを設置
前編でお伝えした通り、矢吹さんのbBはコクピットまわりにパワーアンプなどをレイアウトし、各種ケーブル類を最短距離で配線することでクリーンな高音質を引き出している。その上で、フロントスピーカーには厳選したお気に入りのユニットを用いることで、ベテランらしく好みの方向性のサウンドを楽しんでいる。
中高域スピーカーとしてはソニックデザインのミッドレンジであるUNIT-N55Nをチョイス。ソニックを選んだ理由は女性ボーカルのきれいな響き、さらにはギターのスピード感溢れるサウンドを表現するのに最適だと感じたからだった。さらにダッシュ上に設置するツイーターはホームオーディオ用のユニットであるエグレッタ・FS50。ソニックのミッドレンジとのマッチングも良く、ボーカルの心地良さ、サウンドの広がり感を演出するには絶好のユニットとなった。
インストールはAピラー付近にソニックデザイン独自のユニット形状のミッドレンジを設置するスタイルに加えて、ダッシュ上にツイーターを設置。比較的シンプルな取り付けながら各ユニットの性能を存分に引き出すロケーションにこだわったインストールとした。
◆中低域をカバーするスピーカーユニットをチョイス
取り付け部に工夫を加えてスピーカー交換を容易にした
ミッドバスにはソニックデザインのSD-130Nをチョイス。ソニックデザインの特徴でもあるエンクロージャーを備えた構造のスピーカーで、小口径ユニットでありながら中低域までの音の質感・量感を引き出すことができる点を重視したスピーカーチョイスになった。特に低音の響きはオーナーもお気に入りポイントのひとつになっている。
またドア内張りを大きく開口させて取り付けるインストールスタイルは独特で、サウンド重視の取り付けであることをうかがわせる。取り付けにはアルミバッフルを用いて、ビス止めではなく、タップを立ててボルト固定しているのも個性的。その理由は強固にスピーカーを固定することはもちろんだが、現在用いているソニック以外にファスのスピーカーも所有していて、気分に合わせて取り替えることができるように考えたもの。スピーカーの変更も可能な取り付けもオーナーならではの楽しみ方と言えるだろう。
◆フロントのアシストウーファーによって
ミッドバスとサブウーファーのつながりを改善
システムとしてはヘッドユニットとしてサイバーナビXシリーズ(AVIC-CZ902XS)を用い、DSPであるリゾルトのT-DSP mk2に信号を入力し、前編でもお伝えしたファスAP2.50nをはじめとした4台のパワーアンプをドライブするというもの。音楽プレイヤーとしてサイバーナビXシリーズをチョイスすることで、高音質と操作性の良さを兼ね備えたのもオーナーのこだわり。
さらにフロント(前席足もとスペース)にアシストウーファーとしてソリューションラボのバスーンを設置するのも注目。ラゲッジにはファスのサブウーファー2発を設置しているのだが、ドアのミッドバスとのつながりをよくするために両スピーカーの間を補助する形で設置されたのがこのアシストウーファーだ。中低域と超低域を継ぎ目無く繋ぐことで、低音の滑らかさと量感、フロントからの低音の定位を引き出している。
長い時間を掛けて愛車のbBのオーディオシステムを熟成させ続けている矢吹さん。好きな音のユニット、気に入ったシステムを取り入れ、自分好みのサウンドを車内で再現する。電源部の強化やラインドライバーの追加など細部の煮詰めも精度が高く、サウンドの完成度はピカイチとなった。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。