【アウディ Q6 e-tron 新型試乗】ポルシェとの共同開発でも“度を超さない”アウディらしさ…島崎七生人

アウディ Q6 e-tron quattro advanced
アウディ Q6 e-tron quattro advanced全 16 枚

“プレミアムミッドサイズSUV電気自動車”というのが、このアウディ『Q6 e-tron』の位置づけ。ポルシェと共同開発したというPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)をベースとした初の市販車でもある。

全長4770mm×全幅1940mm×全高1695mm、ホイールベース2895mmのボディは、車重が2420kg(=試乗車。前/後は1190/1230kg)と頭にあると、なかなかズッシリと存在感がある。とはいえSUV系e-tron独特の短い前後オーバーハングが、文字どおり重々しさの何%かを削いでいる。

タイヤサイズは標準では18インチだが、試乗車はS Lineパッケージ装着車で、前:255/R50、後:285/45の20インチが装着されていた。

◆全面に広がるインパネ、SUVらしい余裕の室内

インテリアはここ最近のアウディ車に適用されるデザインでまとめられている。ソフトラップと呼ぶそうだが、インパネからドアトリムにかけて連続したデザインを採用。眼前のMMIパノラミックディスプレイは、11.9インチのバーチャルコクピットプラスと14.5インチのMMIタッチディスプレイとで構成され、全体を曲線で縁取った曲面デザインとし、4角くフラットなタイプとはひと味違う表情を出している。

1名での試乗に終始したため、アシスタント側のディスプレイの有用性は未確認。シフトセレクターはセンターコンソールに前後に動かして操作するスイッチになっている。

室内スペースは前後ともゆったりとしたもの。とくに後席は床面が完全にフラットなため、広々とした印象だ。ラゲッジスペースはこのクラスともなれば余裕画大きく、容量は通常で526リットル、後席(3分割)を倒せば、最大で1529リットルに広がる。リアゲート側には後席を倒すためのレバーの用意もある。それとフロント側には写真のような言わばサブトランク(フロントのトランクだから“フランク”と呼ぶのだそう)もある。

◆アウディらしさの“度を超さない範囲”でスポーティ

走りは当然のことながら、一切のストレスを感じさせないものとなっている。ポルシェと共同開発のプラットフォーム……そう聞くとスポーティなイメージを持つが、ハンドリングにしても、SUVとすれば挙動に無駄がなく、アウディらしさの度を超さない範囲で機敏でスポーティな設定になっているといえばいいか。

4輪駆動のクワトロは2基の駆動用モーターを搭載、最大トルクはフロントが275Nm、リアが580Nm、最高出力は285kWのスペックが与えられている。山道を走るような場面では後輪駆動的な味わいを伝えながら、場面を問わず動力性能は十二分で、床下にリチウムイオンバッテリーを積むことによる重厚感をベースとしながらも、あくまで自然な挙動と安定感を味わわせてくれた。

カタログ記載の一充電走行距離(WLTCモード)は644km(SQ6 e-tronは672km、Q6 e-tronは569km)だから、実際の用途では気持ちにも余裕を持って乗りこなせるはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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