日本最後のオペル、『カリブラ』は空力ボディの流麗スペシャリティクーペだった【懐かしのカーカタログ】

オペル・カリブラ 当時のカタログ
オペル・カリブラ 当時のカタログ全 9 枚

日本市場での展開が途絶えて久しいオペルだが、最後にヤナセが取り扱っていた時代に導入されたのがこの『カリブラ』。本国では1989年に登場、DTMなど欧州での人気を博すなどし、日本へは1994年に上陸した。

【画像】オペル・カリブラ 当時のカタログ

それまでの『マンタ』に代わるスペシャリティクーペの位置づけで、ベースはセダンの『ベクトラ』とし、駆動方式はマンタのFRからFF(と4WD)に一新。2600mmのホイールベース、前:マクファーソンストラット、後:セミトレーリングアームのサスペンションもベクトラと共通とした。

このカリブラで注目だったのは、見るからにそれとわかる、エアロダイナミクスを追求したボディだった。

当時の量産車としては世界最小の0.26(ターボは0.29)のCd値を達成。開発にはエアバスA320の試験も行われたという風洞も使われ、185以上のスケールモデル、2000時間を超える実物大モデルにより実施。これにより走行安定性、燃費効率、風切り音の低減などを追求。オペルが開発した走行状態の騒音がシミュレートできる音響試験室なども使われたという。

また空力のみならず、細いピラーの採用で全周視界率は80%を確保するなど、美しいだけでなく死角の少ない安全性にも配慮したデザインだったことも見逃せない。

インテリアは、インパネの基本デザインはセダンのベクトラとほぼ共通。オペルらしくクーペながら空力だけでなく、室内空間の確保にもこだわりをみせた。定員は4名でハッチゲート式のトランクルームは、フルサイズのスペアタイヤを搭載しながら、最大で980リットルのトランク容量を確保していた。

搭載エンジンは2リットルの4気筒DOHCで16バルブ(135ps/18.8kgm)とターボ(200ps/28.5kgm)を用意。16バルブが4速ATの設定だったのに対し、ターボは6速MTでフルタイム4WDとしていた。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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