自動運転車両の持続運行へ、遠隔管理センターを茨城県常陸太田市に開設…マクニカ

センターの内部
センターの内部全 3 枚

マクニカは、持続的な自動運転車両の運行に向けて、中核拠点となる遠隔運行管理センターを茨城県常陸太田市に開設したと発表した。

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同センターは、マクニカ独自の遠隔運行管理システム「everfleet(エバーフリート)」を基盤として構築された。今後日本全国で運行される自動運転車両を一元的に管理し、安全で持続可能なモビリティ社会の実現を目指す。

自動運転車両の持続的な運行における最大の課題は運行コストで、その多くを人件費が占めている。現在は安全性確保のため、車両ごとに同乗するオペレーターに加えて、遠隔での常時監視要員の配置が必要になるなど、既存の手動運転に比べ人手への依存が高くなっている。

従来の遠隔監視体制は、1台の車両または1地域に対して1人または複数人の監視要員が配置されていた。しかし、この方法では持続的な運用が困難であるため、限られた人的リソースの中で、複数台の自動運転車両を安全かつ効率的に運行し続けるための新たな運行モデルの構築が求められていた。

今回開設した遠隔運行管理センターでは、複数の異なる地域で運行する自動運転車両を一元的に監視・管理できる体制を構築している。everfleetを基盤とし、これまでオペレーターや遠隔監視員が人手で行っていた運行業務をシステムに取り込み、自動化することで、限られた人員でも安全かつ効率的な運行を実現する。

everfleetの特長の1つ目が車両の群管理。複数地域で運行している全車両の位置情報・運行状況・車内外のカメラ映像を、ひとつの画面上でリアルタイムに可視化できる。信頼性の高い独自通信技術により、緊急時の即時対応や異常検知が可能となり、遠隔から迅速かつ的確な判断を行える体制を実現する。

特徴の2つ目はAIによる運行管理業務の自動化だ。乗降客の計測や、車内の安全性確保に必要な異常検知などの業務を、AIを活用したシステムに取り込み、自動化する。これにより、人による監視の限界を補完し、危険の予兆を把握することで、迅速な対応が可能となる。

3つ目の特徴は統合データ管理と交通インフラ連携だ。全車両の車両情報やカメラ映像などのデータを、低遅延かつ欠損なく遠隔管理センターへ伝送し、統合的に管理する。さらに、信号機やスマートポールなどの交通インフラからの情報と連携することで、運行における多様なデータを一元的に活用することができる。

センターで集約された運行データは、everfleetの統合データ基盤で蓄積・活用される。日々の運行状況の把握に加え、将来的な車両増台や運行ルート拡大の検討、さらには外部のデータ基盤と連携することで、データに基づく都市計画や交通政策の立案にも役立てることができる。

一例として、自動運転EVバスの定常運行を開始している茨城県常陸太田市では、行政情報アプリ「じょうづるさんナビ」内の「常陸太田デジタルマップ」を通じて運行情報を市民に提供している。利用者は、バスの現在地や混雑状況をリアルタイムで確認でき、公共交通の利便性向上と利用促進に役立てられている。

マクニカは今後とも、最先端技術の活用を通じて、持続可能な地域交通の運行体制の構築と、データを活用した付加価値サービスの創出を推進し、地域交通課題の解決と地域経済の活性化が両立する未来を、地域とともに描いていく。

《森脇稔》

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