大日本印刷(DNP)は11月17日、完全自動運転開発のチューリングと資本業務提携契約を締結したと発表した。
モビリティ関連事業を注力分野の一つに掲げるDNPは今回、カメラが取得するデータのみで運転に必要な判断をAIがすべて行う「レベル5」の自動運転システム開発に強みを持つチューリングと協業し、自動運転関連の開発分野への参画を目指す。
自動車市場は現在、「CASE」で象徴される技術革新などによって大きな変革期を迎えている。特に自動運転については、各種センサーが得る情報で人が設定したルールに基づいて車両制御する「ルールベース方式」から、多様なデータを深層学習したAIが運転時にその場で判断して、ルールにはない予測不能な交通シーンでも車両を自動制御する「AI方式」への技術開発が進んでいる。
DNPは長年手掛けてきた高セキュリティで情報を処理する技術や仮想空間を生成する技術などの強みを活かしてチューリングとの協業を推進し、完全自動運転の実現に寄与していく。
両社の主な取り組みは4つの分野で展開される。まず次世代ヒューマンマシンインターフェース(HMI)の共同開発では、両社の技術を活用し「AI方式」の自動運転にも対応した新たなHMIの開発を推進する。
自動運転向けセキュリティ技術の開発では、自動運転に必要な走行データの信頼性向上に向け、セキュリティ分野での技術連携を行う。仮想的な交通環境の構築とAIモデル開発では、自動運転の高度化に向け、仮想環境を活用したAIモデルの研究・開発を共同で進める。
AI学習用データの収集・運用支援では、自動運転に必要なAIが学習するデータの収集・管理に関して、両社の知見を活かした支援体制を構築する。
DNPは今後、チューリングとの資本業務提携を通じて、完全自動運転に必要となる製品・サービスの開発を推進していく。特に国内で少子高齢化によって深刻化する人手不足や高齢者の移動の問題、物流関連の問題など、さまざまな社会課題の解決につなげ、モビリティを中心としたスマート社会の実現に貢献していく。また、今後の普及が予想されるフィジカルAIを活用した次世代モビリティにも取り組んでいく。




