来たる1月14日、オンラインセミナー「米テスラ本社工場 ギガ・テキサス訪問と最新FSDロボタクシー体験レポート」が開催される。セミナーに登壇するのは、Undertones Consulting株式会社 代表取締役の前田謙一郎氏。
今回のセミナーは以下のテーマで進められる。
1. イントロダクション
2. ギガ・テキサス訪問
3. FSD自動運転の進化
4. ロボタクシーの展開
5. テスラ・ダイナー
6. テスラの今後
7. 質疑応答
セミナーの開催に先立ち、セミナーの見どころを前田氏に聞いた。
EV・エネルギー事業からAI・ロボティクスへの急進
――自動運転やロボタクシー、人型ロボットなど現実世界AIへと進化するテスラ社のいまを現地取材されたのですね。
はい、テスラは、これまでの自動車メーカーから、自動運転、ロボタクシー、人型ロボットなど現実世界AIを実現するAIロボティクスカンパニーへと進化を遂げようとしています。2025年10月末から11月にかけて、テスラの本社工場があるテキサス州オースティンでロボタクシー試乗やギガ・テキサス工場を訪問し、サイバートラックやモデルYでFSD(Full Self Driving完全自動運転)を体験しました。またロサンゼルスでもモデル3を使い、ラスベガスを往復するなど、テスラの進化を自ら確認してきました。

2025年は特にテスラが目指す企業としての在り方が大きく変化したタイミングです。年初にはマスタープラン4を発表し、従来の「持続可能なエネルギーへ世界の移行を加速する」というミッションから、「持続可能な豊かさの実現」を新しく打ち出しました。これは、これまでの自動車・エネルギー事業を超えて、AIや自動化のテクノロジーによって社会全体の豊かさを築くという壮大な目標です。実際にテスラは現在、FSDによる完全自動運転やロボタクシーの立ち上げに注力しています。
例えば、ギガ・テキサス工場では自動車やバッテリーの製造と同じ場所で、巨大なデータセンター、「コルティックス」を拡張しており、これまで自動車事業で得た事業収益をNVIDIAの最新GPUの大量購入に充て、今後必要になる自動運転とロボティクス事業を加速するための計算エンジンを作っています。ロボタクシー専用モデル「サイバーキャブ」の生産準備も進んでおり、自動車だけを作る拠点ではなくなっています。

テスラの最重要拠点「ギガ・テキサス工場」
ギガ・テキサス工場はテスラの本社工場であり、テスラの製造イノベーションはここから生まれます。ここではサイバートラックやモデルYが生産されていますが、ギガキャスティングといった製造技術や4680バッテリーの生産まで垂直統合が進んでおり、迅速な開発やコスト低減を可能にしています。昨年、レスポンスのツアーで訪問した上海ギガ・ファクトリーにも言えますが、現地化が進み、部品の現地調達率を今年中に75%以上にできるよう取り組んでいるようです。さらに、最新のイノベーションとしてラインオフした車はFSD自動運転を使って輸送ドックまで進んでいます。
最新のFSD自動運転の現在地は?
テスラが注力するFSDはV12からエンドトゥーエンドになり、V13を経て進化が加速しています。テキサスではオースティンからイーロン・マスクのスペースX社のスターベース発射台(テキサス州ボカチカ)まで往復し、ロサンゼルスからラスベガスまでもFSDで総計2,000km以上を運転してきましたが、アメリカの道路環境、フリーウェイやダウンタウン(中心部)での日常使いでは問題ないレベルです。

レストランや買い物に出かける際はFSDを開始するボタン、もしくはスクロールボタンをタップするだけで、目的地まで車が自動でナビゲートしてくれます。私のような土地勘がない外国人や運転の得意でない人にはとても便利だと感じます。それどころか、加速や減速、曲がり方は人間以上にスムーズで、周りの交通状況も人間より見えているので、安全面でも機械に運転させる方が安心できます。もちろん、テスラのFSDは未だSupervised、監視する必要があり、自動運転レベルではレベル2と定義されています。
セミナー当日は、人間の介入が必要な場合や最新バージョンの14のさらにきびきびとした運転などの紹介も含めて、両方を体験したからこそ感じる進化をお伝えします。
加速するロボタクシーの展開
テスラは現在、テキサスとサンフランシスコのベイエリアでロボタクシーサービスを限られた顧客に対して試運転を行っています。今回は、オースティンでテスラのロボタクシー(モデルY)にも試乗し、空港からダウンタウンなどに移動しました。

滞在中、市内中心部に出る際にはテスラのロボタクシーかウェイモを利用したのですが、自動運転に前向きなテキサスではロボタクシーが日常になっていると感じます。テスラのロボタクシーもUberやWaymoと同じく、専用のアプリをダウンロードして、ライドシェアと同じようにタクシーを呼ぶと、大抵10分以内に車が到着します。現在は助手席に安全監視員が座っていますが、特に操作をするわけでなく、20分以上の乗車もとても快適かつ安全でした。



