ドライブに欠かせない“お供”となる音楽。その音楽を、今よりもっと良い音で聴きたいと思ったらシステムアップをするしかなく、つまりは費用がかかってしまう……、と諦めるのはまだ早い。低予算でできることもある。当連載では、その1つ1つを紹介している。
◆クルマの性能が上がったことで、ロードノイズや雨音が耳につくようになった…
今回は、自分でできる「車内静音術」について解説していく。車内静音への注目度が高まってきたのは、ここ10年から15年くらい前からだ。その要因はひとえに、「クルマが静かになったから」だ。
というのもかつてはエンジン音とマフラー音がそこそこうるさく、それ以外のノイズは耳につかなかった。ところがそれらが静かになり、さらにはハイブリッド車ではそもそもエンジン音がしない時間帯があり、EVではまったくエンジン音がしないこともある。結果、タイヤパターンが路面を叩く騒音(ロードノイズ)や天井を打つ雨音が、以前と比べて気になるようになってきた。
加えて燃費性能の向上への求めもますます高まり、となるとクルマは軽い方が良く、ボディの鉄板は強度が確保されつつも軽量化が進められ、さらには吸音材の使用も省かれているケースも増えている。こうして車外ノイズや雨音が、一層響くようになってきた。
プロによる、ルーフの「車内静音作業」の施工例。
◆徹底的な「車内静音」はプロに委ねるしかない。しかし、自分でできることもある!
ただし、徹底的な車内静音化の作業は難易度が高い。鉄板に直接アクセスして部材を貼り付ける必要があり、かつ可能な限り広範囲に作業を施したい。となるとフロアの鉄板や天井の鉄板を完全に露出させたいが、そこまでの“バラシ”をDIYで行うのは困難だ。そして作業範囲が広いため、必要な部材も多くなる。したがって、徹底的な施工はプロに任せた方が良く、費用もそれなりにかかる。
しかし、自分でできることもある。もっともおすすめな方法はズバリ、「足下のカーペット下に“遮音・吸音材”を敷く」ことだ。足下はロードノイズの車内への流入経路の一つとなるため、そこに部材を敷くことである程度のノイズの侵入を阻止できる。
ただし、部材を敷くとカーペットが滑りやすくなるので、特に運転席側への施工には注意が必要だ。カーペットが滑らないよう対策を講じることを、くれぐれもお忘れなきように。
「遮音・吸音・断熱材」の一例(フェリソニ・S-1)。◆Aピラーやリアゲート、そしてトランクのサイドウォールやフロアへの施工も効果的だ!
さらにはシート下や後部座席の足下にも同様の作業を施すと、一定の効果が期待できる。ただし、その作業時にもカーペットが滑らない工夫は必須だ。
そして、内装パネルを取り外すスキルがあれば、Aピラーへの施工も風切り音や雨音対策として有効だ。パネルを外したら鉄板部分に“制振材”や“遮音・吸音材”を貼り、パネル側にも部材を貼ることで効果が得られる。
また、DIYで比較的作業がしやすいのは、リアゲートのパネル内やトランク内のサイドウォールのパネルの内部、そしてトランクフロアだ。パネルを外せるところは外して鉄板にアクセスし、部材を貼り、難しいところではやはりカーペットの下に部材を敷こう。
なお、鉄板に施工できる箇所では、部材を貼る前に鉄板の脱脂を入念に行おう。そうすることで、部材の付着が良くなる。
今回は以上だ。次回以降も引き続きコストのかかりにくいサウンドアップ術を紹介していく。乞うご期待。




