NTTドコモビジネスを代表機関としたコンソーシアム8社、2つの協力機関、および横浜市は、自動運転バスの走行に関する実証実験を横浜市で開始した。
本実証は、総務省の令和6年度補正予算「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」の採択を受けて実施。昨年度の「よこはま動物園ズーラシア周辺での自動運転実証実験」を踏まえた内容となる。
実証の背景として、全国的にバス運転者不足や路線縮小が進行する中、横浜市内でも交通サービス維持が課題となっている。また、よこはま動物園ズーラシア周辺では、休日の来園者による交通渋滞や入庫待ち車列が発生しており、安全で効率的なバス運行を支える新たな交通モデルが求められている。
本実証では、通信制御(無線リソース最適化)と路車協調(ローカル5G・路側インフラ連携)を融合し、都市部における混雑発生地域や見通しの悪い狭あい道路でも安定して運行できる自動運転レベル4の社会実装を目的とした検証を行う。
昨年度は、同園周辺往復約2km区間で小型自動運転車による通信切替制御と走行安全性を中心に検証したが、今年度は走行車両を2台にし、実証走行区間を相鉄本線鶴ヶ峰駅からよこはま動物園北門までの往復約10.6kmに拡大する。
検証内容は大きく2つある。1つ目は、走行中でも大容量データを安定して送受信できる通信環境の構築だ。Cradioによる無線通信電波品質予測とハンドオーバー制御で通信切断や劣化を最小限に抑え、ISAPによる通信量制御で映像遅延や画質劣化を抑える。また、5Gワイドやネットワークスライシングなどの無線リソース最適化技術を適用し、都市部の変動する通信環境下でも車両制御に必要な情報を安定的に伝送できることを確認する。
docomo MEC上および遠隔監視装置でのリアルタイム映像処理により、バス車内の状況を統合監視し、1名の監視員で2台の車両を同時に遠隔監視可能な体制(1対2遠隔監視)を構築する。これにより、監視業務の省人化・効率化を図るとともに、将来的な複数車両同時運行モデルの実現性を検証する。
2つ目は、狭あい道路や見通し不良区間における、安全かつ円滑な自動運転走行を支援する通信・制御基盤の構築だ。ローカル5GサービスTypeDとキャリア5Gを併用し、車両と路側インフラ(LiDAR・カメラ・スマート道路灯)との間で双方向通信を行う。これらのセンサー情報をMEC上で統合・リアルタイム処理し、自動停止・減速・離合判断を車両制御に反映させることで、見通不良区間や狭い区間での安全通行を可能にする。また見通不良の交差点や駐車場出入口における他車を即時に把握し、他車を回避する通行を可能にする。
昨年度は、通信品質の可視化や映像伝送の安定化を中心に検証を行ったが、本年度は路側インフラ連携・車両間通信の統合制御にまで発展させ、都市部での自動運転における路車協調制御技術の有効性を明らかにする。
実証場所は神奈川県横浜市の相鉄本線鶴ヶ峰駅からよこはま動物園北門(片道約5.3km)。運行期間は2026年1月22日までだ。
自動運転車両は自動運転レベル2の日野自動車「ポンチョ」(試乗定員10名)を2台使用する。乗車場所は相鉄本線鶴ヶ峰駅バスターミナル9番乗り場で、運賃は無料。試乗専用乗車予約サイトからの事前予約制となる。
本実証を通じて、都市部における自動運転バス運行の安定化・効率化に必要な通信制御および路車協調技術の有効性、および安全安心な監視業務のオペレーションを検証する。得られた知見は横浜市のみならず、同様の交通課題を抱える他都市においても活用可能な知見として整理し、全国各地の都市型自動運転モデルの社会実装に向けて展開を図る。
また、ローカル5G・Cradio・ISAP・MEC・5Gワイド・ネットワークスライシングといった先端通信基盤技術の活用は、将来の商用自動運転サービスに不可欠な技術要素であり、2027年度までに想定される全国展開フェーズに向けた重要な検証ステップと位置づけている。




