ホンダ車の純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスと無限が合同試乗会を開催した。この記事では純正品質のままカスタマイズで走りと印象がどう変わるかを、ホンダ『プレリュード』や『シビックタイプR』などの試乗結果で整理する。
試乗会では「Modulo(モデューロ)」と「無限」のカスタマイズ思想の違いを同一条件で体感できた。量産車ベースの試乗だけでなく、今後に期待したいコンセプトモデルにも触れられ、純正アクセサリーの現在地が見える内容だった。
◆ホンダアクセスが純正品質で届けるカスタマイズとは
1996年~ホンダ プレリュード
ホンダアクセスは本田技研工業と共同で企画から開発まで行い、カスタマイズパーツを供給している。狙いは純正クオリティと一体感を保ちながら、見た目と走りの完成度を上げることだ。
1996年~ホンダ プレリュード今回新型プレリュード向けのパーツをリリースしたが、プレリュードはホンダアクセスと縁が深い。1982年の2代目プレリュードではリアスポイラーを初設定し、当時はドレスアップとしての位置付けだった。1987年の3代目プレリュードではトランクスポイラーが大ヒットし、空力を考慮した設計とLEDハイマウントストップランプを備えた革新的パーツとして支持を集めた。
1996年~ホンダ プレリュード1991年の4代目ではトランクスポイラーが定番化し、1996年の5代目ではホンダアクセス初となるフルエアロを開発。リフトバランスを整える設計思想は、ホンダアクセスのエアロダイナミクス開発思想の源流となった。
そして2025年の新型プレリュードでもエアロパーツを開発。ホンダアクセスが掲げるのが「実効空力」だ。これは普段使いの速度域でも走りの違いを体感できる空力を目指す考え方で、街乗りから高速道路まで走行をサポートする。そのエアロ思想の原点が、歴代プレリュード向けのエアロにあったというわけだ。
◆新型プレリュードの空力パーツ 実効空力の狙いと乗り味
ホンダ プレリュード(ホンダアクセス)新型プレリュード向けには空力パーツとして、フロントロアスカート、ドアミラーカバー、テールゲートスポイラーなどをラインアップする。いずれもリフトバランスを整える方向でセッティングし、風洞実験で空気の流れを検証。主翼形状と翼端板の位置を決定し、見た目と効果の両立を目指して開発されている。
ホンダ プレリュード(ホンダアクセス)形状は、純正エアロとして装着されていないのが不思議なほど自然だ。むしろ装着車両のほうがまとまりが良く、スタイリッシュに見えてくる。
ホンダ プレリュード(ホンダアクセス)走りも同様で、プレリュードらしい鋭い加速感を持ちつつ、普段乗りや高速道路では落ち着いたしっとりした質感が印象的だった。フロントグリルモールディングやブラックエンブレムによるシックなフロントフェイスは、大人の質感を引き立てる。派手さより上質さを重視してプレリュードの印象を整えたい人には刺さるはずだ。
◆ヴェゼルで比較 純正ホイールとMS-050の違い
ホンダアクセスホイールMS-050装着車両(左)/純正ホイール装着車両(右)次に体感したのがホンダ『ヴェゼル』での純正ホイールと、ホンダアクセスのホイールMS-050の比較だ。
ホンダアクセスホイールMS-050装着車両(右)/純正ホイール装着車両(左)MS-050はホイールを「しならせる」という設計思想のもとに開発されている。狙いはホイールの弾性を使って、タイヤと路面のコンタクトを高めること。ホイールにサスペンション的な役割を持たせる考え方だ。剛性バランスを突き詰めてリム形状などを決定し、ホイール自体の固有振動数や弾性変形領域もサスペンションの一部として捉えて設計している。ほかの車種にも装着は可能だが、ヴェゼルに最適化された設計となっている。
実際に乗ると、MS-050はステアリング操作に対してリニアに曲がる感覚がわかりやすい。切り出し直後、クルマがロールするかしないかの領域からスルスルと向きを変えてくれる。純正ホイールではその領域の反応がわずかに遅く感じた。操作に対して速やかに曲がり出すため、ペースを上げても不安感が少なく、上質な乗り味につながっている。長距離移動の疲労も抑えられそうだと感じられた。
◆シビックタイプRで体感!実効空力とシェブロン形状の効き方
シェブロン形状が施されたシビックタイプR用テールゲートスポイラー「実効空力」はモデューロが提案するエアロチューンの考え方で、コンセプトは接地荷重を4輪に均等配分し、安定させることにある。具体的には前後のリフト値を均等に近づけ、4輪に荷重を分配することで安定した走行性能を狙う。効果は高速走行だけでなく、普段乗りの速度域から安定度の高さが感じられるという。
ホンダ シビックタイプRシビックタイプR用のテールゲートスポイラーで導入されたのが、シェブロン形状の羽だ。シェブロンはノコギリの歯のことで、スポイラー下面の後端をギザギザにして空力効果を高める。直進時だけでなく旋回時に風がウイングへ斜めに当たる状況でも効果を発揮しやすい。
シェブロン形状が施されたシビックタイプR用テールゲートスポイラー航空機でもボーイング787のエンジンカバーにシェブロン形状が採用され、騒音低減に寄与するとされる。今回は同一車両で純正スポイラーと付け替えながら、クローズドコースのスラロームで効果を体感した。
ホンダ シビックタイプRスラロームはあえて40km/h程度に抑え、街乗りを想定して走ってみた。モデューロのテールゲートスポイラーでまず感じたのは、ステアリング操作に対してクルマの反応が速いこと。クルマがロールして安定する前から、スルスルと向きが変わっていく。
ホンダ シビックタイプR通常リアのダウンフォースが増えると相対的にフロントの荷重が減り、ステアリングに対する反応は鈍くなりがちだ。だが実効空力は4輪の荷重バランスを整えることで、クルマが素直に動く方向へ持っていく。スラローム時の安定感も高まり、同乗者の快適性も上がったと感じられる変化があった。
◆Super-ONE ホンダ純正アクセサリーが描く未来像
ホンダ Super-ONE ホンダアクセスジャパンモビリティショー2025でお披露目された『Super-ONE』は、ホンダの新型EVらしいコンパクトさと使い勝手をイメージさせる一方、「REIWA Bull Dog」と命名されたコンセプトモデルとして強い個性も放つ。Super-ONEをベースに、1983年発売の『シティターボII』からインスパイアされたホンダ純正アクセサリーと思われるエアロパーツが装着されていた。
ホンダ Super-ONE ホンダアクセステールゲートスポイラーやフロントバンパー内のフォグランプ、エンブレムなどが変更点で、BULLDOGステッカーの下には小さくELECTRIC POWERの文字も入る。これはシティターボllの「WITH INTERCOOLER」へのオマージュだ。コンセプトモデルとはいえ完成度が高く、市販化への期待が膨らむ内容だった。
◆無限 Super-ONEで提案するワイドスタイル
ホンダ Super-ONE ホンダアクセス(左)/無限 Super-ONE(右)無限もSuper-ONEをカスタマイズし、東京オートサロン2026で展示したのが「Super-ONE Prototype」だ。ノーマルのマッシブなボディをさらにワイド化するオーバーフェンダーを装着し、大型フロントスポイラー、ダクト付きボンネット、リアには大型カーボンウイングを組み合わせる。フロントやサイドには大きな「無限」ロゴを配し、ワイドなイメージを強めていた。
無限 Super-ONE16インチの5本スポークホイールにRE-71RSを装着し、車高も大きく下げて迫力を高める。ただしこの車高はショーモデル前提とのこと。とはいえ、無限からパーツ展開される可能性は高く、Super-ONEの楽しみ方が広がるのは間違いない。
◆無限 プレリュード…走りと質感を上げるグランドツアラー感
無限プレリュード「Gliding Sports Coupe」滑空してスポーツするクーペというコンセプトが与えられた無限のプレリュードは、カーボン製パーツを中心に構成される。フロントアンダースポイラー、サイドガーニッシュ、リアアンダーディフューザー、リアアンダースポイラー、テールゲートスポイラー、ドアミラーカバーなどを装着し、さらにハイドロフィリックLEDミラーとスポーツエキゾースト、鍛造アルミホイールFR10も備える。
無限プレリュード室内には無限が得意とするパフォーマンスダンパーを装着し、乗り心地とハンドリングをブラッシュアップしている。街乗りと高速道路での試乗では、心地よいエキゾーストノートが伸びやかに響き、プレリュードらしいスルスルとした加速感が気持ちよさを後押しする。パフォーマンスダンパーも洗練された走りに貢献していると感じられた。
無限プレリュード見た目はカーボンパーツを多用しながら、純正エアロのように自然な仕上がりだ。派手なスタイルが苦手でも、質感アップを狙うなら現実的な選択肢になる。
◆無限 FL5 GrAとGrBで分かれる狙い
無限シビックタイプR「Extreme“R”」をコンセプトに掲げる無限のシビックタイプRは、Gr.AとGr.Bで方向性が異なる。Gr.Aはホイールやパフォーマンスダンパーを装着したライトチューンモデルで、Gr.Bは究極のタイプRを目指すモデルとなる。
無限シビックタイプRGr.Aは19インチの無限オリジナル鍛造アルミホイール「FR10」を装着し、4本で純正ホイール比10kg軽い。BBSジャパンとの共同開発でホイール剛性を最適化し、タイヤが路面を捉えるしなやかな乗り味を狙う。さらにそのしなやかさを高めるのがパフォーマンスダンパーだ。ボディに起きる微細な動きや振動を吸収し、乗り心地の向上と高い操縦安定性を実現するという。
無限シビックタイプRGr.Bは究極のTYPE Rを目指したデモカーで、ブレンボ製鍛造6POTキャリパーを装着し、ローター径の大型化で制動力を高める。パッドもオリジナル開発だ。スポーツチタンエキゾーストシステムはフロントパイプから専用開発し、サイレンサーなどをチタン化。中間トルクを引き出すことを念頭に1本出しレイアウトを採用し、-8.75kgの軽量化を可能にしている。これらの採用で-38kgの軽量化を実現し、ダウンフォースは純正比で約3倍を得ているという。
◆N-ONEで比較、パフォーマンスダンパーの効きが分かりやすい場面
ホンダ N-ONE会場内で体感できたのは『N-ONE』へのパフォーマンスダンパー装着車とノーマル車の乗り比べだ。30km/hほどのパイロンスラロームで比較すると、パフォーマンスダンパー装着車が自然に感じられる一方、非装着車はアンダーステア気味に感じた。
パフォーマンスダンパーステアリングを切り込んだ先で曲がりきらない、思ったように向きが変わらない感触になる。装着車は操作に忠実に反応し、クルマの動きが整う方向へ変化していることが体感できた。




