「電気バス」でつながる聖地・高野山、導入の裏にあった合理的な理由

高野山内を走るBYD K8 2.0
高野山内を走るBYD K8 2.0全 12 枚

4月24日、和歌山県の高野山にてBYD製の電気バス『K8 2.0』が運行を開始した。

同日には南海電鉄の観光列車「GRAN天空」が大阪のなんば駅から極楽橋駅で運行を開始。さらに極楽橋駅から高野山までをケーブルカー、さらに高野山内を電気バスの「K8 2.0」と一気通貫で電動モビリティのみで移動できる交通体系が構築された。

◆南海りんかんバスで6台を導入

納車記念の撮影。じつはナンバーが高野山(・5-83)である

「K8 2.0」の導入台数は6台で、運行は南海りんかんバスが担当する。外装は「GRAN天空」と共通性を持たせた朱色で統一されている。主な運行ルートは高野山駅を起点に山内各所を経由し奥の院へ至る約7kmで、観光客の移動手段として使用されるほか、一部では地域の生活路線としての役割も担う。

南海グループではこれまでも環境負荷低減に向けた取り組みを進めており、環境理念および環境方針を統合した「環境基本方針」を策定している。今回の電気バス導入もその一環であり、沿線における環境配慌と観光価値の向上を両立させる狙いがある。電気バスは走行時に二酸化炭素を排出しないことから、自然環境や景観への影響を抑えられる点が評価された。

◆航続距離は約240km、高野山駅に急速充電器を設置

充電はCHAdeMOの急速充電のみ

今回採用された「K8 2.0」は、314kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを車体後部およびルーフに搭載し、後輪に100kWのインホイールモーターを左右独立で配置する構成を採る。駆動方式は後輪駆動で、航続距離は約240kmとされる。充電方式はCHAdeMO規格の急速充電に対応し、普通充電には対応していない。

充電インフラについては、高野山駅にダイヘン製の急速充電器を設置した。最大出力は50kWで、2台接続が可能な仕様だが、一般的な急速充電器のように2台接続時に出力を落として2台同時充電するのではなく、1台ずつ順番に充電を行うタイプ。高野山内での1日あたりの走行距離はおおむね100km前後であるため、営業終了後の充電で翌日の運行に必要な電力量を確保できるとしている。なお、充電設備や関連機器は景観への配慮から外装色を濃い茶色に変更して設置されている。

BYD K8 2.0のサイドスタイル

◆高野山に電気バスを導入する理由

電気バス導入の背景には、寒冷地での運用実績や維持管理コストの観点もある。高野山は冬季に氷点下となることがあり、車両には低温環境下での安定した性能が求められる。また、電気バスはエンジンを搭載しないため、エンジン関連のメンテナンスが不要となり、長期的なコスト低減につながる点も採用理由のひとつとされる。導入にあたっては車両価格や充電設備の整備など初期投資が必要となるが、補助金制度を活用することで負担軽減を図っている。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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