数えて4世代目となるホンダ『インサイト』。3000台限定で導入された最新モデルは中国・東風本田の工場で生産され、工場を同じくする現地市場向けに発売済みの『e:NS2』がベース日本仕様化したものだ。
成り立ちを念頭に実車を眺めると、日本市場に導入される各ホンダ車とは、そこはかとなく“趣”の違うデザインであることがわかる。スタイルはSUVというよりクロスオーバー風で、全長4785mm×全幅1840mm×全高1570mm、ホイールベース2735mmで、過大とまでは言わないがゆったりと大らかなサイズ感。
リアにハッチゲート(=樹脂製)を持つ形式は『シビック』や『アコード』と同じだが、クッキリと存在させたCピラーや立体的に裁ち落としたリアエンドの立体的な造形など、作風は他車とはまったく異なり、このクルマらしい特徴を出している。
◆ゆったりとしたインテリア、ユニークなアロマ
ホンダ インサイト
インテリアもゆったりしている。インパネ、ドアトリム、シートなど奇抜さは控えられ、心地よく過ごせる移動空間にまとめられている。ステアリングホイールは僅かに楕円形状ながら操作性に違和感はなく、前席左右間のやや低い位置にボタン式のシフトスイッチ、ドライブモード切り替えレバーなどが備わる。
標準で備わるのはディスプレイオーディオだが、この12.8インチの大画面には、物理スイッチを模したグラフィックの空調関係の操作パネルなどが表現され、これはこれで使いやすい。
ホンダ インサイト後席にはフロアから座面までが高めで、シートはゆったりとしたサイズ。ラゲッジスペースは、通常時でメイン部分の奥行き×幅はともに1010mmほど(筆者実測値)で、高さ方向も535mm(同)ほどあり、実用上の不満はまったくない。
装備としてユニークなのがアロマディフューザーだ。かつてシトロエンのどれかの車種でもあったような小さな筒状のカートリッジをインパネ横から差し込んで使うもので、同時に3種類、計6種類の香りが楽しめるのだそう。好みの香りがみつかり、リフィルも手に入るのならいいかも知れない。
ホンダ インサイトのアロマディフューザー◆ICEから乗り換えても違和感がない走り
試乗した印象は、スタイル同様にゆったりとスムースなBEVらしいものだった。回生はパドル操作の減速セレクターで3段階に調整可能ながら“効き”の変化は極端なものではなく、いずれの場合もスムースさがスポイルされず、停止はペダルで実行するようになっており、ICEから乗り換えても違和感がない。また周波数応答型ダンパーの効果もあり、速度や路面状況の変化に対して表情の変化が小さい乗り心地も実現している。
それとアコースティックガラスがフロントとドア(前後)に採用されているそうで、走行中の静粛性は高く、それだけにICEのオルタネーターノイズがラインに乗って聞こえるようなヒューン音(エンジニアに確認できていないがモーターの回転に伴う音)が唯一聞こえてくるのは、気がつく人は気がつくかもしれない。
一充電走行距離は535kmとのことで、一例だが91kmの走行で、バッテリー残量は98%→72%に変化した。
ホンダ インサイト■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。




