トヨタ・モビリティ基金(TMF)が、ブラジル有数のイノベーション組織のオノボラブと連携し、すべての人が自由に移動できる社会の実現を目指すプログラム「Mobility Unlimited Hub(MUH)」の新たな拠点として、同国サンカルロスに「MUH São Carlos」を新設した。
あわせて、障害者や移動に制約のある人々の自立支援、アクセシビリティ向上、社会参加の促進に資するソリューションを開発するスタートアップ9社を選定した。選定にあたっては、技術の革新性に加え、ラテンアメリカにおける持続的で実効性のある社会的インパクトの創出可能性を重視した。
MUHは、障害者や高齢者をはじめ、移動に制約を抱える人々が自分らしく暮らし、社会に参加できる環境づくりを目指してスタートアップを支援するプログラムだ。2024年にカナダ・トロントで「MUH Toronto」を開始しており、「MUH São Carlos」はそれに続く世界で2拠点目となる。
ラテンアメリカおよびカリブ地域には約8500万人の障害者が暮らしており、移動やアクセシビリティに関する課題が依然として残されている。「MUH São Carlos」では、「MUH Toronto」で培った知見を活かしてラテンアメリカにおけるエコシステム形成を促進するとともに、両拠点の連携を通じて地域を越えた知見の共有やネットワーク構築を推進していく。
オノボラブはブラジル・サンカルロスを拠点とするイノベーションハブで、スタートアップと企業・大学・研究機関などをつなぎ、新規事業創出を支援している。「MUH São Carlos」では参加スタートアップに対し、メンタリングや専門家とのネットワーク構築支援、パートナー企業・団体との連携機会を提供する。「Nothing about us without us(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」の理念のもと、障害者との共創を重視したソリューション開発を進める。
■選定されたスタートアップ9社
・スタディウェア(Steadiwear Inc.)
パーキンソン病などによる手の震えに悩む人向けに、電源不要のウェアラブル型手振れ安定化デバイスを開発。食事や筆記などの日常動作をサポートする。
・リボックス(Livox)
コミュニケーションや意思表示、学習などに困難を抱える人向けに、アンドロイドタブレットを活用した拡大・代替コミュニケーション(AAC)支援ツールを提供。
・シー・ユー(See U Ltda)
AI、エコーロケーション、3D空間音響技術を活用し、視覚障害者が周囲の環境や障害物、人の位置などを把握しながら安全に移動・情報取得できるアプリを開発。
・シンビオス(Symbios)
腕の動きを補助しながら動作データを記録・分析できる上肢用ポータブルロボティック外骨格「m-FLEX」を開発し、個人に合わせたリハビリテーションを支援。
・ギブムーブ(GiveMove)
利用者の体験を重視した立位・移動支援機器を開発。テクノロジー、デザイン、イノベーションを融合し、自立性や社会参加の向上を目指す。
・リンビックス(LIMBX)
3Dプリント技術と電子技術を活用し、上肢切断者や先天性欠損のある人向けのカスタマイズ可能な義手を開発・提供。
・クイデ・ミー(Cuide Me)
スマートウォッチや医療機器と連携し、健康状態や移動状況、安全指標などを継続的に遠隔モニタリングするプラットフォームを提供。
・スーパー・ニナ(SUPER NINA LTDA)
AIとデータ分析を組み合わせた安全管理プラットフォームを提供し、把握・監視・予防による安全な環境づくりに取り組む。
・セラファイ(Therafy)
VR(仮想現実)とAIを活用した医療プラットフォームを提供。障害のある人を対象に、神経心理学的および運動機能に関する訓練やリハビリテーションを支援する。
TMFは2014年8月にトヨタ自動車が設立した財団で、モビリティを通じた豊かな社会づくりへの貢献を目指し、世界中で移動課題への対応をはじめとした幅広いプロジェクトに取り組んでいる。




