稼動56時間の労働が事故の原因に? 鈴鹿・過労運転事故の公判がスタート

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今年8月、過労による居眠りが原因で多重追突事故を起こし、11人を死傷させて業務上過失致死傷罪に問われている33歳のトラック運転手に対する初公判が30日、津地裁で開かれた。被告は罪状認否で起訴事実を全面的に認め、「直前で目が覚め、ブレーキを思い切り踏んだが止まれなかった。申し訳なく思っている」と供述した。

この事故は8月10日早朝、三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道下り線・鈴鹿インターチェンジ付近で発生した。渋滞で止まっていた車列の最後部に居眠り運転の大型トレーラーが減速しない状態で追突。被害を受けた7台中4台が漏れたガソリンに引火して炎上。逃げ遅れた5人が焼死、6人が重軽傷を負ったというもの。事故直後から運転手の過重労働が問題となってきた。

初公判の冒頭陳述で検察側は、事故を起こした運転手が過去1年間、茨城県日立市と大阪府大阪市間を月あたり10往復するという過酷な勤務に就いていたという実態を提示。事故直前に入ったローテーションでは稼動56時間に対し、仮眠などの休憩に取れる時間が17時間しかなく、しかもこれが断続的だったと指摘した。運転手は眠気を感じ、何度か意識が薄らぐような状態だったにもかかわらず運転を続け、これが事故につながる主因となったとし、運転手の過失をこの部分に求めた。

この事故では、運転手に過重労働を行わせたとして、運送会社の運行責任者など2人が道路交通法違反(過労運転容認)で逮捕されている。今後はこちらの捜査の進展を見ながら、管理側の責任も追及していく方針で、命令される運転手側の責任がどれだけのものになるのかが注目される。

《石田真一》

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