大型トラックが事故の加害者となった場合、その事故形態はかなり悲惨なものとなる。漫然運転を行ったトラックが渋滞の最後尾にいた乗用車を4人の乗員ごと踏み潰し、さらに前進を続け、結果として12台が関係する多重衝突事故に発展した東名高速での事故は記憶に新しい。
新型『アクトロス』には悲惨な事故の発生を未然に防ぐためのアイテムを装備したモデルもある。テリジェントオートマティックによるクルーズコントロールとミリ波レーダーを連動させ、前車との車間距離が接近した場合には流体式リターダーを動作させて減速するというもので「テリジェント・ディスタンスコントロール」と呼ばれている。
かなりの減速感をドライバーに与える仕組みになっており、ドライバーにブレーキ操作や回避を促し、事故を未然に防ぐ。将来的にはブレーキ動作も自動的に行うアクティブクルーズへの発展も視野に入れているが、ダイムラークライスラー日本の上野金太郎常務は「導入は早くても来年以降になるのではないか」と説明する。
また、一部車種には乗用車と追突事故を起こした際、相手車のもぐりこみを防ぐ「フロントアンダーライトガード」と呼ばれるものを装備している。フロントバンパー最下部にフレームを配し、これによって追突した車両を前方に押し出す役割を果たす。追突したクルマが下に潜り込み、トラックは止まらずにその上を走り抜けるといった、東名高速で起きた多重衝突のような事故は防げる可能性が大だ。
ただし、事故を未然に防ぐアイテムというのは客側からの関心もまだまだ低く、売り込む側としても「他人の不幸でメシを食っているような感じがして、強くアピールできない。これがあれば東名のような事故を防げますとは言えませんよ」と営業担当スタッフは話す。
営業スタッフがアピールしないから客も関心を持たないのかもしれないが、せっかくのアイテムなのだからもっと強くアピールしてほしい。