運転席の装飾板が要因…禁固2年の判決

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ダッシュボード上に置いた小物などを隠す目的でフロントガラス下部に装飾板を設置したトラックを運転、装飾板による視界不良が原因で母子をはねて死傷させたとして、業務上過失致死傷罪に問われた45歳の男に対する判決公判が20日、横浜地裁川崎支部で開かれた。裁判所は被告の男に対し、禁固2年の実刑判決を言い渡している。

問題の事故は昨年11月26日に発生している。同日の午前10時20分ごろ、神奈川県川崎市中原区田尻町付近の県道を横断しようとしていた36歳の女性とベビーカーに乗っていた生後10カ月の男児が、県道を進行してきた45歳の男が運転する普通トラックにはねられた。

現場は見通しの良い直線道路だったが、トラックは横断している女性には気がつかず、そのまま進行。倒したベビーカーを引きずったまま6mほど走り、ようやく停止した。2人はすぐに病院へ収容されたが、女性が右足の骨を折る重傷を負い、男児は心臓破裂が原因で即死している。

事故現場は見通しの良い直線道路だったが、事故を起こしたトラックのフロントガラス下部には、ダッシュボード上に置いた小物を隠す目的で高さ20cmの「装飾板」が設置されていた。

警察ではこの装飾板が至近距離の視界を悪化させたと判断。負傷した女性と同じ身長の女性をトラックの前に立たせる検証を行った結果、装飾板なしの場合にはトラックの前方0.9mに立っていても確認が出来るものの、装飾版ありの場合には2.7mより先にいないと上半身が見えないことがわかった。

20日に行われた判決公判で、横浜地裁川崎支部の栗田健一裁判官は「前方の注視を怠っただけではなく、装飾板を設置することで視界を悪化させた」と認定。男がこれまでの取り調べで「装飾板が無ければ事故は起きなかった」と供述していることにも触れ、「安全に対する配慮を欠く行為があった」とも指摘した。

その上で「事故の結果はあまりにも重大」として、男に対して禁固2年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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