4 | あの人の、気になるコトバ |
ということで、イタリアのパンの「マズさ」には、それなりの背景と理由がある。それでも個人的にはパン単体で比べれば、イタリアのものより、バターも塩も惜しみなく使ったフランスのほうが口に合うのが正直なところである。結構大人になるまでフランスパンよりもフワフワの「食パン12枚切り」が世界一ウマいと信じ込み、『春のパン祭り』のシールをマメに集めていたお前が何を言う、と言われればそれまでだが……。
いっぽうイタリア人は、たとえ味が薄くても、パサパサしていても、慣れ親しんだイタリアのパンをこよなく愛する。「フランスパンなんか、モッタリしていて嫌いだゼ」と言って憚らない人も多い。
それで思い出した気になる語録がある。ランボルギーニの創始者・故フェルッチョ・ランボルギーニの言葉である。あるジャーナリストから、「フェラーリやマセラティなど、高性能のグラントゥリズモは、なぜみんなエミリア地方製なのか?」と聞かれたときのことだ。
フェルッチョは 「世界一うまいパンは、(エミリア地方の)フェッラーラのパンでしょうが」と豪快に答えたという(トニーノ・ランボルギーニ著・拙訳、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』、光人社)。答えになってるのか、なってないのかわからない問答ではある。しかし一度、機会があったらフェッラーラのパンとやらを食べてやろうと思っている。待ってろ、フェルッチョ。