【神尾寿のアンプラグド特別編】動き出した流通系電子マネー、ロードサイドに変化!?

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【神尾寿のアンプラグド特別編】動き出した流通系電子マネー、ロードサイドに変化!?
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ゴールデーンウィーク開始直前、セブン&アイホールディングスとイオンの流通大手2社が相次いで独自電子マネーのサービスを開始した。

今回、セブン&アイホールディングスとイオンが投入した電子マネーは、どちらもソニーの非接触IC技術「FeliCa(フェリカ)」を使う前払い方式(プリペイド)のもの。FeliCaは現在、電子マネーや少額クレジット決済分野に急速に広まっており、ビットワレットの「Edy」、JR東日本の「Suica」、首都圏の私鉄・バス事業者が推進する「PASMO」などがある。またFeliCaを使った少額クレジット決済では、三井住友カードとNTTドコモが推進する「iD」、JCBが推進する「QUICPay」、UFJニコスの推進する「VISA TOUCH」などがあり、自動車業界との関わりではトヨタファイナンスがQUICPayを推進している。

FeliCaを使った電子マネーや少額クレジットは、これまで鉄道会社など公共交通事業者かクレジットカード会社が推進してきた。ここに今回、セブン&アイとイオンという“流通系”が誕生した格好だ。

◆nanacoは流通業界最強のカード

流通系電子マネーで、まず先陣を切ったのはセブン&アイホールディングスだ。同社は4月23日、独自電子マネーの「nanaco(ナナコ)」のサービスを開始。発行会社はセブン&アイグループの金融子会社アイワイ・カード・サービスで、初年度1000万枚の発行を目標にしている。

23日に都内で行われたオープニングセレモニーには、セブン&アイホールディングス会長の鈴木敏文氏、同社長の村田紀敏氏、セブン-イレブン・ジャパン社長の山口俊郎氏、イトーヨーカドー堂社長の亀井淳氏、アイワイ・カード・サービス社長の山本俊介氏が一堂に会し、グループが総力を挙げてnanacoに取り組む姿勢をアピールした。

「nanacoは2年前からセブン&アイグループで準備してきたサービス。流通業界が発行する電子マネーとしても史上初になる。nanacoの特徴は、小銭がいらないスピード決済と、独自のポイントがつくというところ。今後、電子マネーは各方面の企業に広がるが、(nanacoは)我々のグループだけでなく、いろいろな企業に採用してもらうように異業種連携を強化していきたい」(セブン&アイホールディングス社長の村田紀敏氏)

nanacoはカード型とおサイフケータイを使ったモバイル型の2種類があり、どちらも独自のポイントプログラム「nanacoポイント」がつく。またカード型とモバイル型のどちらも利用開始時に利用者情報と属性の登録が必要な「記名式」であり、SuicaやPASMO、Edyのように個人情報の登録なしで使える「無記名式」はない。これは顧客情報と販売情報を紐づけて、CRMやマーケティング分析をするためだ。

利用時の入金(チャージ)は今のところPOSレジで行う。またセブン銀行でのATMチャージも順次開始される予定だ。対応店舗は東京都内のセブンイレブン1500店舗からスタートし、5月中に34都道府県1万1700店のセブンイレブン全店で対応。今年秋以降はイトーヨーカドーやデニーズなどセブン&アイグループの系列に拡大する。

セブン&アイグループは金融サービス分野でJCBと提携していることもあり、2007年夏にはセブンイレブンでnanacoの他にQUICPayにも対応する。また逆に、nanacoのセブン&アイグループ以外への展開では、JCB加盟店網が活用される予定である。

◆既存方式+「WAON」のイオングループ

4月27日には、イオンが独自電子マネー「WAON(ワオン)」を開始した。こちらはカード型のみで、初年度800万枚の発行を目指している。

サービス開始当初、WAONに対応するのは、関東と新潟県の一部にある、ジャスコ、マックスバリュ、イオンスーパーセンター、カルフールなど系列96店舗。2008年度中を目処に、イオンのショッピングセンターやミニストップなど、2万3000店舗に広がる予定だ。

WAONはnanacoと同じくプリペイド方式だが、サービス内容には若干異なる部分がある。WAONは3種類のカードが用意されており、無記名式・現金チャージ専用の「WAONカード」、イオングループのクレジットカードの子カードとして発行される「WAONカードプラス」、クレジットカードにWAON機能を内蔵した一体型カードの「イオンカード(WAON一体型)」がある。また現金からのチャージだけでなく、イオンのクレジットカードからのチャージや、一定額を下回ると自動的にクレジットカードからチャージされる“オートチャージ”機能も備えている。nanacoに比べると、自社クレジットカードとの連携は当初から充実している。

ポイントプログラムも導入される。WAONのポイントプログラム「WAONポイント」では、200円ごとに1ポイントが蓄積し、100ポイントごとにWAONに交換できる。1ポイントは1円相当だ。

「WAONは2008年度中に全国展開しますが、ショッピングセンターを中心に地域での汎用性を高めていく。電子マネーやポイントはオープンな形で考えたい」(イオン社長の岡田元也氏)

イオンはすでに既存のFeliCa決済である「iD」と「Suica」に対応しているが、これに加えて独自方式の「WAON」を導入。利用促進をしていく構えだ。

◆コンビニ、大規模SC、スーパーでFeliCa決済が躍進

今回、セブン&アイとイオンが独自の電子マネーに乗り出したことで、ロードサイドをめぐるFeliCa決済の動向も大きく動き出す。特に地方で、この傾向は顕著になるだろう。

誤解を恐れずに言えば、Suica/PASMOやEdy、iDなど、これまでのFeliCa決済は東京のような都市部中心で拡大してきた。クルマ社会である地方では、一部のコンビニや店舗が対応してきていても、「急速に広がっている」印象は薄かったのは事実である。

しかし、セブン&アイとイオンが独自電子マネーを開始し、この分野に本腰をいれたことで、ロードサイドビジネスで要になる大手の「コンビニ」と「大規模SC」、「スーパーマーケット」でFeliCa決済が広がる。地方の都市や郊外など、クルマ社会にもFeliCaを使ったサービスは広がってくるだろう。

《神尾寿》

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