【清水和夫のサステナブル・リポート】三菱i MiEV その2…開発人対談 橋本徹 MiEV事業開発推進室長

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【清水和夫のサステナブル・リポート】三菱i MiEV その2…開発人対談 橋本徹 MiEV事業開発推進室長
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■いかに電気を貯めるかがカギになる

清水:では、実際の i MiEVの開発において苦労された点、あるいは試行錯誤などがあったら教えていただけますか?

橋本:3年前の開発当初は、スペースユーティリティ、つまり広い居住空間が確保できるという点でインホイールモーター(車輪の中に駆動モーターを内蔵する方式)で構想を練っていたのですが、コストアップは避けられず、ユーザーの方にメリットを享受していただけるものではありませんでした。そこで、構成をもっとシンプルにして「安価に提供できる」「早期に販売できる」に、大きく方向変更を図ったのです。

清水:それが現在のカタチですね。では、基本のパワートレーンではいかがですか? 私自身、代替エネルギーベースで考えた場合、電気駆動車が21世紀のモビリティになるのは間違いないと考えているのですが。

橋本:なにより、電力を使って走るための「電気を貯める技術」が課題でした。つまりバッテリーの話になるのですが、じつは i MiEVの開発に合わせて、大手バッテリーメーカーさんとの共同出資で、新規で電池会社を立ち上げたのです。コスト面で非常に厳しかったのは事実でしたが、ここをクリアしない限り量産は難しい。我々と電池メーカーがペアになって試行錯誤を繰り返しながら開発。結果、開発スピード、性能、品質……すべてにおいて納得のいく優秀なバッテリーが完成したと自負しています。

清水:なるほど。従来までの電池は携帯電話を始めとした家電ベースで、ある意味「壊れてもしかたない」みたいな雰囲気がありましたが、クルマではそれは許されない。ひとケタ違うくらい品質に対する要求は高かったわけですね。

橋本:さらに、バッテリーは容量劣化する消耗品です。廃棄/リサイクルなどの問題も含めてEVで果たさなければならない社会的責任はきわめて大きいと感じています。

清水:今後のバッテリーの進化についてはいかがでしょう? また、要素技術での難題はありますか?

橋本:じつはリチウムイオン電池は歴史が浅く、技術的にも、コスト的にも未知の世界。ゴールはまったく見えていないというのが本当のところです。ただし、今まで「難しい」とされていた大型車用の大型バッテリーについても、まだ入り口はいえ実現のメドが立っているなど、徐々に進化しているのは間違いないですし、可能性は無限に広がっているといっていいと思います。

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《清水和夫》

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