【伊東大厚のトラフィック計量学】自動車盗難とその特性

自動車 ビジネス 企業動向
【伊東大厚のトラフィック計量学】自動車盗難とその特性
【伊東大厚のトラフィック計量学】自動車盗難とその特性 全 4 枚 拡大写真

盗難の地域特性

日本国内の自動車盗難は、90年代後半に急増したものの、現在は減少に向かっている。日本の自動車盗難は、どのような地域で発生しやすく、また国際的に見て盗難リスクは高いのだろうか。

盗難リスク(保有台数あたりの自動車盗難件数)は、都道府県によって大きな違いがある。保有1万台あたりの盗難件数が年10件を越えるのが千葉県と大阪府、最も少ない秋田県は0.3件だ(07年)。

また、盗難リスクは盗難件数が多い都道府県別ほど高く、人口や自動車保有台数が多いところ、国際港のあるところで多発する傾向にあるようだ(図1)。盗難が港の近くで多いことは、不正輸出と関係が深いことを窺わせる。

◆一部地域と場所に被害が集中

また、盗難被害は一部の地域に偏る傾向がある。盗難リスクの高いワースト5(千葉県、大阪府、茨城県、神奈川県、埼玉県)で盗難件数全体の過半数、ワースト10までを加えると75%を超える。これらの府県は、盗難対策の重点地域と言ってよいだろう(図2)。

駐車場所にも特徴がある。日本損害保険協会によれば、最も多いのが屋外の契約駐車場、次いで自宅の屋外駐車場、この2つで7割を超えている(図3)。また、盗難の8割以上は夜間・深夜の時間帯だ。

これは、クルマの保管や駐車環境の改善が盗難抑止につながることを示している。すべての家屋をガレージ付きにすることは難しいが、屋外の駐車場では、カメラやセンサーライトなど防犯装置の設置を進めるべきだろう。

◆盗難リスクの国際比較

しかし、国際的には日本の盗難リスクは圧倒的に低い。国際犯罪被害実態調査(ICVS;International Crime Victims Survey)によれば、過去1年間に自動車盗難被害に遭ったかを自動車保有世帯にアンケートしたところ、日本は極めて低水準であり、イギリスなど被害率の高い国の10分の1以下だ(図4)。

日本はもはや安全な国ではなくなった、という指摘を耳にするが、自動車盗難については、比較的安全であることを示すデータといえる。

幸いなことに、日本の自動車盗難件数は03年を境に減少に転じたが、依然として年間3万件の盗難が発生している。国際的にみて低いとはいえ、そのリスクは死亡・重傷事故やひったくりの件数と同レベルだ。今後とも、盗難抑止対策の継続が必要となるだろう。

《伊東大厚》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  2. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  3. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  4. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  5. シートに座ると自動で送風開始、取り付け簡単「クールカーシート」2モデルが発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る