| 3 | 新しいタイプのカロッツェリア |
カロッツェリアとは、クルマのデザインや製造をする業者のこと。ザガート、ベルトーネそしてピニンファリーナなどが有名で、イタリアのクルマの生産に所縁の深いトリノ付近にあることから生まれた言葉であることを想像させる。
ザガートは、最も古い歴史を持ち、アルファロメオ、ランチア、そしてアストンマーティンなどで名作を残している。ピニンファリーナは、主にフェラーリのクルマを手掛け、今や最大のカロッツェリアとして存続しているが、最近インドのタタからの資本援助を受けるなど、経営は苦しくなっている。
カロッツェリアの主な顧客であったアメリカのメーカーの黄金時代である1950 - 60年代をピークに、伝統的なカロッツェリアも姿を消しつつある。このような状況下で、日本でカロッツェリアが誕生するのは驚きだが、主な仕事がクルマのデザインだけではなく、生活用具のデザインにもあるとすれば納得がいく。
しかし、クルマのデザインがブランド力を高めるための手段だとしても、ある程度の販売実績が求められることは確かだ。高いハードルに挑戦するケン奥山の「心意気」にエールを送ると同時に、ジャパニーズカロッツェリアの誕生により、日本の企業にもデザイン価値を認めてもらうための、尖兵としての活躍が期待される。
| D視点: | デザインの視点 |
筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)---デザインジャーナリスト。元日産自動車。「ケンメリ」、「ジャパン」など『スカイライン』のデザインや、社会現象となった『Be-1』、2代目『マーチ』のプロデュースを担当した。東京造形大学教授を経てSTUDIO MATSUI主宰。【D視点】連載を1冊にまとめた『2007【D視点】2003 カーデザインの視点』を上梓した。




