昭和電工は19日、新電解質を利用した次世代電解液の開発を進め、車載用大型リチウムイオン電池向け電解液事業に参入すると発表した。
同社は、米国エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(APD)が保有する安全性の高い新電解質に関する技術と昭和電工独自の電解液技術を組み合わせることで、車載用に適した次世代電解液を開発し、量産技術を早期に確立する。
従来の電解液は、リチウムイオン電池の過充電による発火の危険性や、充放電を繰り返すことによって電解液内に発生する酸化性物質が電池の性能劣化を進行させるといった課題があった。同社が開発を進める電解液に使用する新電解質は、電池の劣化原因の一つである水との反応や、経年とともに電池の正極を腐食する酸の発生がなく、さらに400度の高温でもその性質が変化することがない高温安定性という特長を持つ。
加えて、現状の電解液を使用した場合と比較して電池容量を引き上げることができるため、小型化も図れる。
昭和電工は、自動車用リチウムイオン電池向け負極材などと合わせ、先端電池向け素材分野で2020年には売上高600億円を目指す。