インドのタタモーターズは、3月1日に開幕したジュネーブモーターショーにおいて、コンセプトカーの『ピクセル』(PIXEL)を初公開した。
ピクセルは、欧州都市部の道路事情に適したコンパクトカーの提案。超低価格車の『ナノ』の車台をベースに開発された。目を引くのは、スーパーカーのような跳ね上げ式サイドドアだろう。タタによると、狭い場所でも楽に乗り降りできるという。
全長はわずか3000mmと、トヨタ『iQ』の2985mmとほぼ同サイズ。iQでは事実上、大人3名+子ども1名の4名乗りとなるが、ピクセルはパッケージングの効率化によって、大人4名乗車を実現した。
さらに、「ゼロターン」と呼ばれる画期的な取り回し性能向上システムを採用。これは、ステアリングホイールを最大に切ってUターンする場合などに、低速時に限って、内側の後輪を逆回転させるというアイデア。これにより、最小回転半径は2.6m(iQは3.9m)に抑えられる。
リアに置かれるエンジンは、1.2リットル直列3気筒ターボディーゼル。アイドリングストップやブレーキエネルギー回生システム、オンデマンド制御の補器類、低転がり抵抗タイヤの採用などにより、欧州複合モード燃費29.4km/リットル、CO2排出量89g/kmという高い環境性能を達成する。
またピクセルには、「マイ・タタ・ネクト」と名づけた車載テレマティクスを導入。スマートフォンと連携したシステムで、ダッシュボード中央のタッチパネルに機能を集約。自宅や会社にいる時と同様、車内でインターネットに接続したり、好きな音楽を楽しんだりすることができる。
タタは、「世界で最も効率的なパッケージングの4シーター車」と自信たっぷり。市販化についてはアナウンスされていないが、未来のナノを示唆したコンセプトカーとも受け取れそうだ。