高速道路初のトリックアート・ミュージアムが3月3日、東名高速上郷SA(サービスエリア)上り線にオープンした。SAにある建物の壁に、いくつものトリックアートを描き、利用者を驚かせ、見た人を楽しくさせる。
利用者の目に飛び込んでくるのは、レストランや土産物売店が入る商業施設の正面入口の壁に描かれた巨大なトリックアートだ。もともとある外壁のタイルを生かし、崩れかかった壁からゾウやキリンが、利用者に近づいてくるかのように描かれている。
上郷サービスエリアの看板より大きく、横幅10m、縦4m。「トリックアートとしては、とても大がかりなもの」(中日本高速名古屋支社)と、話す。
このほかにもシロクマやゴリラなど10種類以上が、コンビニ店やコーヒーショップの壁に描かれている。大きな動物は誰でも気がつくだろうが、店舗の天井の隙間にある通風口や自動販売機と壁の隅など目立たない場所にも、サルなど小さく動物が実際に隠れているかのように描かれている。
平面に描いた絵が浮き出るように見えるトリックアートは、その前に観客が立つと、さらに立体的に錯覚をするような工夫が凝らされている。
トリックアートを制作した専門会社「エス・デー」(茨城県那須市)のアートディレクター工藤将人氏は「トリックアートは描き終わりましたが、写真を撮っていただき、できあがった写真を見て楽しんでいただくことで、作品は完成する」と、同日のオープニング式典で挨拶した。
また、中日本高速道路(NEXCO中日本)名古屋支社の久保田修関連事業部長は「デパ地下タイプのエクスパーサを始め、感動あるSA作りに努めているが、このトリックアートもその一つ。すべてのエリアを個性的に変えていくことで、すべての場所で感動して、喜んでいただければ」と、初の試みに希望を込めた。