【パナソニック ストラーダ H500WD】デザインと直感的操作を両立させる技術……インタビュー

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
パナソニック オートモーティブシステムズ 商品企画チーム 田中秀憲氏
パナソニック オートモーティブシステムズ 商品企画チーム 田中秀憲氏 全 12 枚 拡大写真

パナソニックからこの秋登場した、高機能HDDナビゲーション「Hシリーズ」は、フリック&ドラッグなどのスマートフォンやタブレットの操作感をカーナビで実現させた新感覚UIが特徴だ。

ラインナップは、200mmのワイドパネルに対応する『H500WD』と通常の2DINサイズの『H500D』の2機種展開。開発に当たった商品企画チーム 田中秀憲氏に、同機の開発経緯や魅力などを語ってもらった。

◆地図の全画面表示と情報量の豊富さの狭間で

----:まず、Hシリーズの開発コンセプトと特徴をお教えください。

田中:カーナビという商品自体が広く一般化(コモディティ化)して、競合他社製品との差別化が難しくなってきたという状況がまずありました。そこで当社では、「ビューティフル・フィット」をキーワードに、Hシリーズを皮切りに新展開を図りました。

今回のHシリーズで最も大きな特徴が、直感的操作に優れた新ユーザーインターフェースです。これまでの感圧式から新たに静電容量方式のタッチパネルを採用し、スマートフォンなどと同じようにフリック&ドラッグによる簡単操作を可能としました。

また、アプローチセンサー搭載により、「フルスクリーンマップ」と呼ぶ地図の全画面表示を可能としました。操作したいときは、全画面表示されている地図に手をかざすだけでタッチキーが表示されるダイレクトランチャー機能を新たに採用しました。この機能によって、わざわざ「MENU」ボタンを押す煩わしさがなくなり、ナビの情報量の豊富さと、全画面表示による地図の見やすさを両立できたと思っています。

----:外観はパネル全面がほぼフルフラットになり、上質感が高まりました。

田中:筐体のデザインと質感にはこだわりました。インテリアとのフィット感、マッチング、美しさなどHシリーズをご購入いただいた方に満足いただけるものを目指したつもりです。

◆技術ありきではない、使う人の立場に立った使いやすさとは

----:こうしたフリック&ドラッグを可能にした「モーションコントロール」などの技術的背景には、やはりスマートフォンの普及拡大などが影響しているのでしょうか。

田中:まず、スマートフォンやタブレットの普及によって、ユーザーの地図を見る機会が増えたと思います。カー用品店などへ行っても、カーナビをスマホ感覚で操作しようとする方はけっこういらっしゃいます。操作体系がフリック&ドラッグに移ってきていると感じて、この操作感をナビに持ち込んでみてはどうかということで、このHシリーズで導入することになりました。実際に触ってみると、Hシリーズならではの特徴が出て、差別化が実現できたと思っています。

----:ストラーダはもともと誰にもわかりやすく、洗練されたユーザーインターフェース(UI)を持ち味にしていましたが、その方向性はHシリーズでも踏襲されていますね。

田中:カーナビの画面で一番長く表示されているのが地図でしょう。その地図画面から、ユーザーの望むものをすばやく表示させてあげたいと思うと、タッチキーなどの情報量を多く見せて、なるべく少ないタッチ数で次の表示へと到達させてあげたい。と同時に、地図をできる限り大きく表示させたい。この相反する部分を解決させてくれたのが、アプローチセンサーという新しいデバイスです。

----:今後ナビはさらにマルチタッチなどの導入によってもっとスマホライクになるとお考えでしょうか。

田中:モバイル端末は左手で持って右手でフリック&ドラッグしますが、ダッシュボード埋め込み型のナビゲーションでは、右ハンドルのクルマでは(右手でハンドルを握り)左手で画面を操作する。そうしたシーンを考えたときに、「本当にマルチタッチが必要かどうか」という議論は出てくると思います。

ただ、我々が今回フリック&ドラッグを導入した経緯は、使う人の感性に近い操作感に合わせたということで、新しい技術を誇示したいという気持ちはありません。あくまでも使っている人の立場に立って考えた結果の、静電パネルやアプローチセンサーの採用なのです。

◆斬新よりも優しさや親しみやすさを追求

----:実際に使って見た印象ですが、このフルフラットのクリアパネル、グレアパネルにしては映り込みが気にならないのは印象的でした。

田中:クリアパネル採用による映り込みについては心配している面もありましたが、LEDバックライトの採用で輝度を上げることができたので、あまり気にならないレベルにはなっています。様々な場面で実走評価しましたが、明るさ・見やすさ・きれいさに自信が持てました。

----:アイコンの意匠や細かな表現部分なども、かなり変わりましたね。

田中:アイコンなども上質感を含ませたかったので、フラットに合うようなシックで落ち着いたデザインにしました。さらに、階層ごとのメニューはアイコンで統一して、視認性・わかりやすさをアップさせています。

----デザインを優先すると使い勝手が落ちるというケースがしばしばありますが、Hシリーズで使い勝手を考慮するために施した工夫などはありますか。

田中:フリック&ドラッグなどのモーションコントロールに対応すべく、なるべく平面に近づけたいと思いましたが、ボタンすべてを平面にして凹凸をなくすと、ブラインドタッチができなくなるなどの、走行中の操作性が損なわれる可能性が出てきます。そこで、なるべくフラット感を保ちつつも、右に配置したハードキーなどには凹凸をつけてブランドでも操作できる配慮をしています。さらに、車内の照明に合わせたイルミネーションが選べるLEDイルミ色設定(8色)も追加し、デザイン性と操作性をアップさせました。

----:この秋、「Hシリーズ」に加えて「Sシリーズ」というモデルも新たに加わりました。

田中:Sシリーズは機能の「優しさ」「親しみ」といった点に重きを置いて開発したシリーズです。どちらが上、下というヒエラルキーではなく、ユーザーのニーズや利用シーンを考慮して設けた新ラインナップです。

----:冒頭部分で、カーナビという商品の差別化について触れられていましたが、パナソニックのHシリーズでは上質感と操作感を追及したというところでしょうか。

田中:他社と同じような機能/性能を追うよりもパナソニックが強みとしている、たとえばデザインやユーザーインターフェースの面でお客様に選ばれる価値を提供したいと考えています。Hシリーズの企画に当たってそこは非常に重視したポイントですし、今後も大事にしていきたいストラーダのこだわりです。

《レスポンス編集部》

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