【CES 12】イノベーション実現に向け先進企業各社トップが語る

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先進企業トップ3名が集まり、イノベーションについての熱い議論が交わされた(CES 12)
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CES2012開催の2日目、会場オープン前の午前9時、ラスベガスヒルトンシアターでは、ゼロックス社、Verizon社のエンタープライズソリューション、フォードモーターカンパニーの各CEOが出席し、イノベーションについてのパワーパネルディスカッションが開催された。

登壇したのは、ゼロックス社の会長兼CEOのウルスラ・バーン氏、フォードモーターカンパニーの会長兼CEOのアラン・ムラーリー氏、Verizon社のエンタープライズソリューション代表取締役のジョン・ストラットン氏の3名。それに司会進行役として、米国家電協会CEOであるゲーリー・シャピロ氏の計4名がイノベーションに対して各社がどう臨んでいるかを討議し合った。

ウルスラ・バーン氏は2003年に会社として経済的に大変な苦労をしたことを振り返り、「当時のアドバイザーには研究開発費を削ることで10億ドルの経費削減になると進言されたわけだが、それでも会社が生き残っていくためには必要な研究開発の投資は止めなかったという。それほど会社にとってイノベーションは大切なものだ」と語った。

アラン・ムラーリー氏は、「イノベーションはフォードの基礎だと思っている。108年前にヘンリー・フォードがクルマを開発したときからフォード社はイノベーションに邁進してきた」と話す。会社として歴史が浅いVerizon社を率いるジョン・ストラットン氏は「創業時になかったものが今では会社全体の3/4を稼ぎ出している。会社にとってイノベーションは欠かせないものだ」と説明した。

これに対しゲーリー・シャピロ氏が「イノベーションが各社にとって重要なことは十分わかったが、投資家達は短期的な実績で評価するのではないか」と問いかける。

ウルスラ・バーン氏は「研究開発が障壁になったことなどない」と断言。「コスト削減は重要なことだが、お金は長期的な見地の下で使うのが正しい」と答えた。アラン・ムラーリー氏は「確かに会社にとってキャッシュフローはとても大切なものだが、長期的な展望に立って経営判断すべきことがより重要である」。ジョン・ストラットン氏は「会社には山もあれば谷もある。移行期には収益が落ちることだってあるのは当然だ」と投資家に対する思いを述べた。

また、アラン・ムラーリー氏は前身が旅客機メーカーであるボーイング社から映ってきた経歴を持つ。フォード社のCEOに就任したとき、メディアは「飛行屋にクルマがわかるはずがない」と酷評したという。しかし「安全性や省燃費といった分野は方法やスタイルは違っても方向性は同じ所を向いている。しかもクルマは1万点の部品で構成されるが、飛行機は400万点にも及ぶ」これを聞いたメディア達は一瞬にして押し黙ってしまったという。これには場内から一斉に笑いが湧き起こった。

逆に「飛行機屋で培ったことが今に反映され、効率的な交通システムとしてクルマの開発に役立てるようになった」とアラン・ムラーリー氏。「今では労働組合も部品会社も一つになって理解してくれている」とする。またフォード社は1ガロンの燃料で100マイルを走れるプラグインハイブリッド車が間もなく登場すると発表したが、「これも会社が総力を挙げてイノベーションに取り組んだ結果」とした。

ここでウルスラ・バーン氏が教育に関して言及。「イノベーションに教育制度の改善は重要なことで、素晴らしい教師によるエキサイティングな教育によって国民全体が力をつける必要がある。米国でも人材流出が激しく、とくに思うことが多くなった」と話すと会場からは勝算の拍手がわき上がった。また、「スポーツ選手ばかり育てるのではなく、イノベーターを育てる必要性を感じている」と続け、「子供達はかっこいい職業に就きたがるけれど現実は違う。4年も待って教育をしっかり受ければ700万ドルの収入が得られる」ここでも拍手が湧き起こった。

一方でアラン・ムラーリー氏は「アメリカの魂を救ためにも経済的にもっと発展できる環境作りをすべき。税制の改善も必要だし、自由貿易も欠かせない」と続け、「フォード社は今後世界の93カ国で社員を1万2000人増やし、有能な人材を育てていく」とも述べた。ジョン・ストラットン氏は「今こそ新たなビジネスを創出すべき時。ユーザーがどこに価値を見出しているのかを見極めるのが大切だ。小さな会社だった私たちもそれをつかんで成長できた」と話す。

最後にゲーリー・シャピロ氏が「1年後にまた進歩した状態で迎えたいと思っている。そのためには政府こそがイノベーション・リーダーとなるべき」と締め、討議は大きな拍手の中で終了した。

《会田肇》

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