「我々の気持ちを伝えるため」ルノー・ジャポンが日産自動車100%子会社に

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ルノー・ジャポン 大極司COO
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ルノー・ジャポンは4月2日より、日産トレーディングの一事業部から、日産自動車100%子会社のルノー・ジャポン株式会社になることを発表した(一部既報)。

同社は、これまでルノー日産アライアンスを活用し、日本での事業の効率を高めていくという目的で、日産自動車100%子会社である日産トレーディングの一事業部門としてルノー車及びその部品の輸入販売をしてきた。その結果、「組織のスリム化と事業の効率化を着実に進めることが出来ました」と語るのは同COOの大極司氏。

また、同時にルノーブランドの構築と認知の向上に取り組んだ。「私がCOOに就任した2009年当時、ブランディングに問題があることが明らかで、全くといっていいほどうまくいっていなかったのです。これは、輸入車という商品にとっては致命的なことだと考え、最重要課題と定めて、力を入れて取り組みました」。

日本の輸入車市場はシェア10%を切る特殊な市場である。そこで大極氏はこの市場を攻略するにはニッチ戦略しかないと考え大きく方針を変えた。しかし、「ルノー本社は小型車から貨物車まであるフルラインナップメーカー。しかも、欧州ではトップ3に入る規模なので堂々たる強者戦略を行っています。従って、ニッチ戦略はなかなか理解してもらうのが難しかった」と振り返る。しかし、「お互い膝を詰めて話し合った結果、ニッチ戦略を日本では進めるぞと、ニッチトップ戦略で行くぞと足並みがそろったのです」と笑う。

そこで、特徴のあるモデルや、ルノーが得意とするモデルを前面に押し出す“選択と集中”ということを開始した。「具体的には、ルノースポールという大事なブランドを全面的に押し出す。それから、個性的でフレンチテイスト溢れる『カングー』を集中して取り組んでいきました」。その結果、全販売台数の7割を占めるまでになったのだ。

一方、すでにルノーに乗っているユーザーの満足度の向上もブランドを作るうえでの課題であった。「我々がラッキーだったのは、ルノーユーザーは自分のクルマへの愛着が深い方が多い。そこでユーザーが集まって楽しめるカスタマーイベントを中心に企画してきました。これらのイベントは大変好評で、ブランドに対して良い効果が出ていると確信しています」と語った。

こうした取り組みにより、「販売台数も2010年から増加に転じ、我々の取り組みが一定の成果を上げつつあると思っています」とする。ただし、「今後のさらなる成長のためにはもっとスピード感を持ち、さらに我々の気持ちを伝えるための施策を打っていかなければならない。この課題をクリアするには現在の組織構造をまずシンプルにして、意思決定を迅速化し、さらに、インポーターとしての機能をより強化することが必要だったのです」。これがルノー・ジャポンを独立法人化する大きな理由なのだ。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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