2010年11月、8代目となった「キャンター」が発売された。
小型トラックで世界初採用となったデュアルクラッチトランスミッション「DUONIC」に、Adblueを使った排気後処理装置「Bluetec」を組み合わせ、余裕をもってポスト新長期排出ガス規制をクリア。
それだけでもニュース性が高いのに、2012年5月18日に発売となった第2世代の「キャンターエコ ハイブリッド」は、その「DUONIC」のアウタークラッチ側に高回転高出力型のハイブリッド用モーターを内蔵。今度は乗用車を含めて真の意味で世界初のDCT+ハイブリッドシステム(以下、DCT+HV)搭載車として世に送り出してきたのだ。
トヨタ、ホンダ、ポルシェなど、世界の名だたる自動車メーカーが次世代スポーツカーのパワートレーンとしてDCT+HVを開発しているが、三菱ふそうはなぜ、世界に先駆けこのパワートレーンを実用化することができたのか?詳細は後述するとして大きな意味で言えば、三菱ふそうが籍を置くダイムラー・グループの新しい商用車戦略がベールを脱いだことを意味している。
次世代スポーツカーがクリーンディーゼルルとDCT+HVを選択する理由。それはダウンサイジング化による環境負荷低減と速さを両立させたいから。対して、「キャンターエコ ハイブリッド」は、同じく小さなエンジンによる燃費数値向上と積載性の両立が目的だ。
狙いはピタリとはまった。カタログ燃費は2トン積車では12.8km/リットル、3トン積車でも12.2km/リットルを記録する。非ハイブリッドモデルと比較すると、2トン積車で9.8〜11.6km/リットルだから10〜30%の向上となる。燃費の向上代はそれほど大きくないようにも見えるが、年間数万kmを走る商用車においては長い目で見れば大きな差となって現れてくる。