杭州 日本茶の原点を見に行く(5)清河坊の茶屋で

エマージング・マーケット 中国・東アジア
杭州 日本茶の原点を見に行く (5) 杭州 清河坊の茶屋で
杭州 日本茶の原点を見に行く (5) 杭州 清河坊の茶屋で 全 6 枚 拡大写真

清河坊で

夕方から西湖付近を散策。ユースホステルから西湖が近くてよかった。靄る湖面に浮かぶ小舟を眺めていると、何だか自分が流されていくよう。流されても湖なのでどこかの岸には辿り着くのだろう。昨年春、「江南の春を楽しむ」という企画でK先生とご一緒した。先生は当地の大学とも交流を深めており、会社を辞めたばかりの私を誘ってくれた。皆で船に乗り、西湖遊覧をしたことが思い出される。先生は今年の春、西湖の春を見ずして亡くなった。初めての一緒の旅が最後の旅になった。人の出会いは儚いものだ。

夜、昨年お会いした汪さんと清河坊で待ち合わせた。清河坊は昔の街を再現した場所で、昔の建物が残り、大道芸あり、似顔絵かきあり、お店もずらりと並んでいて、観光客の人気スポット。

汪さんは30年前に北海道大学に2年留学しただけなのに、きちんとした日本語を話す本当に頭のいい60代で、浙江大学の理科系の教授も務める人物。今回も連絡すると懐かしそうに出て来てくれた。これは嬉しい。

汪さんは私を一軒の茶店に誘う。なかなか雰囲気が良さそう。汪さんは慣れた足取りで2階へ上がる。そして龍井茶を注文しようとした。ところが、突然汪さんの顔色が変わり、店員に何か言い始める。そして茶葉を持ってこさせ、じっくり見てから、この店のオーナーに電話した。一体なにがあったのか。

聞けば3週間前まで、一人68元だった料金が、突然3倍になっていた。そして茶葉は本物ではなかったという。オーナーの指示で本当の茶葉が運ばれてきたが、それでも料金は変わらない。観光料金と言えばそれまでだが、地元の人からすれば怒るだろう。実は汪さんは一時、お茶屋さんもやったという専門家。彼を騙そうとしたことでトラブルとなる。恐らく私がいたので、お茶を飲んだのだが、普通なら席を蹴って退場しただろう。

テーブルには菓子や果物がふんだんに並べられ、店員が茶を淹れてくれたが、何だか全てが嘘っぽくなってしまった。これでよいのだろうか。折角の再会に水を差されたが、こちらとして、このような一面が見られて、勉強になった。

杭州 日本茶の原点を見に行く (5) 杭州 清河坊の茶屋で

《須賀 努》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  3. “プチカスタム”でサマードライブの楽しさをブーストアップ![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. メルセデスベンツ車だけに特化!走りを静かにする「調音施工」認定店が埼玉県三郷市にオープン
  5. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
  6. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  7. 新型ドゥカティ『パニガーレV2S』日本上陸に「スイングアームアームすげー」「日本じゃ全力は使えない」など驚きの声
  8. ジープの小型SUV『アベンジャー』、発売2年で20万台受注…電動車比率は66%に
  9. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  10. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る