【インタビュー】カンボジア初のビジネス日本語検定実施へ…サクラ・ヒューマン・トレーニング 大石安慧社長

エマージング・マーケット 東南アジア
大石 安慧昭和女子大学文学研究科日本語教育学博士課程修了。王立プノンペン大学客員教授。NGO「ALC」理事長。著書に『ホテルの日本語』(クメール語対訳)など。
大石 安慧昭和女子大学文学研究科日本語教育学博士課程修了。王立プノンペン大学客員教授。NGO「ALC」理事長。著書に『ホテルの日本語』(クメール語対訳)など。 全 2 枚 拡大写真

日系企業進出が相次ぐカンボジアでは、日本語人材の需要が非常に高まっている。そんななか、今年5月にカンボジアで初の「ビジネス日本語検定」が行われる。

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実施するのは日系のサクラ・ヒューマン・トレーニング(S.H.T)という会社だ。社長の大石安慧さんに、これまでの経緯や検定実施に対する思いを聞いた。

----:事業内容はどのようなものですか。

ビジネスライセンスを持った有益な人材を輩出して社会へ貢献していくことを理念に、三つの事業を有しています。一つめは、日系企業で即戦力となる人材の育成です。国立経営大学やプノンペン市内の高校などに「ビジネス日本語コース」を設置し、日本のビジネスマナーやビジネス用語など、実践的なビジネススキルを学べるようにします。二つめは、ビジネス日本語検定の実施です。日本語を理解し、ビジネス場面で運用していく力を測定します。いずれは日系企業へ就職する際のライセンスのようなものになればと思っています。三つめは、進出日系企業への人材派遣です。企業が求める人材像とニーズを把握し、検定結果をもとにマッチングをはかります。

----:大石さんはカンボジアとかかわって長いと聞きました。それがどうして今、S.H.Tという会社を設立するに至ったのですか。

私個人では2000 年からカンボジアで日本語教育を推進する活動をしており、プノンペン大学への日本語学科設置に尽力しました。2007年からは国際NGO「 ALC」の理事長として、日本語教育支援や医療技術支援などに力を注いできました。

ただ、昨今は中間所得層の数も進出日系企業の数も飛躍的に増えてきました。ビジネス社会の到来を強く感じます。そういった状況の中では、支援というよりも自らの力で仕事や夢をつかみとれるように、世の中のニーズに合った能力を習得できる場、そして習得した能力を正確に測れる場をつくるほうが重要になってくると感じたからです。

----:ビジネス日本語検定とはどのようなものですか。

S.H.T のNew Human Wave という育成プログラムによって、日本のビジネスマナーやビジネス文書の理解といった、日本語を用いたビジネスコミュニケーション能力を客観的に測定するテストです。日本語教育学などの専門家とともに開発しました。表のように、1000 点満点のテストで、その得点によりJ1 からJ6 までの6段階で評価します。

ASEAN 諸国全体でもこのような取り組みは初めてのことで、教育省の後援やカンボジア日本人材開発センター(CJCC)の協力を得て実施します。試験は今年から年2 回開催する予定で、第1 回は5 月26 日(日)、第2 回は11 月24 日(日)です。この試験を通してカンボジアのビジネス基礎能力が底上げされ、ASEAN 諸国の中心になれるような人材が育つことを願っています。

編集部

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