シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は6月29日付で住宅ローンに総量規制を導入する。返済能力を超えた借り入れの抑制が目的だ。子どもの名義での住宅ローン取り入れといった規制逃れへの対策にもなる。
総量規制では資金の貸し手は借り手のほかの債務(既に取り入れている住宅ローンや自動車ローン、カードローン)を考慮し、返済額の合計が借り手の月間収入の60%を超える融資が禁止される。
月収1万Sドル(約78万円)の所得者を例にとると、自動車ローン、カードローン利用で月3,000Sドル(約23万4,000円)の返済義務があるとして、取り入れを計画している住宅ローンの月々の返済額が3,000Sドルを超えると、返済義務は計6,000Sドル超(約46万8,000円)になる。60%規制に触れるため、金融機関は返済額が3,000Sドル以下になるよう、住宅ローンの融通額を抑えなければならない。
住宅ローンを取り入れに際し、取り入れる当人と保証人の所得合計と年齢を考慮するとの規制も導入された。融資限度規制を回避するため、子ども名義で2軒目の住宅を購入しローンを取り入れるとの行為が規制される。
住宅投機を抑制するため政府は1月、2軒目、3軒目の住宅に対する融資限度を引き下げた。この規制を逃れるため、子ども名義で住宅を購入するケースがあったようだ。