【ジャカルタモーターショー13】インドネシア市場は本当に日系メーカーのドル箱なのか

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ジャカルタの街並
ジャカルタの街並 全 12 枚 拡大写真

ジャカルタモーターショー13が開幕した。新車販売シェアで、日系メーカーは9割以上を占める。インドネシアでは、日系メーカーが圧倒的な存在感を放っている。

インドネシア自動車市場における、この夏のトピックといえば、ローコストグリーンカー(LCGC)プロジェクトの実施だろう。政府が定める燃費、価格、現地調達率、排気量などの数値をクリアしていると、税金が一定額免除される。

2012年のジャカルタモーターショーで、トヨタ、ダイハツがそれぞれインドネシア向けの小型車『アギア』『アイラ』を発表した。今年いよいよ市場投入を迎えたこの2モデルは、いち早くLCGCに対応したモデルでもある。

インドネシアの新車市場は、2012年に100万台を突破、2013年は110~120万台の販売が見込まれている。人口2億3000万人と試算されているインドネシア市場で、この新車販売台数が多いか少ないか。

トヨタ『アバンザ』やダイハツ『セニア』といった小型ミニバン(MPV)が全盛ではあるものの、低価格な小型車のラインアップ拡充を政府が支援、注力する背景には、クルマを手に出来ない未開拓のユーザー層の存在がありそうだ。

ジャカルタにおける平均月収は、日本円にしておよそ2~3万円で、クルマを買うことは容易ではない。すなわち、大衆の足として一層クルマを浸透させるには、購入負担の軽減が欠かせない。そのため100万円を大きく下回る小型車や、LCGC適合車両が求められ、メーカーにとってもこうした車両のラインアップが急務となっている。二輪車がジャカルタ市街を数多く走行しているのは、渋滞回避という面もあろうが、クルマを購入するのが難しいという現実を反映しているとも見ることができる。

結果、インドネシアの小型車市場では熾烈な競争が続くことが必至。アギア、アイラに続き、ホンダ『ブリオ』がLCGC適合を図り、スズキも続く。

クルマの拡販が続く一方で、道路の整備は大きな問題だろう。ジャカルタ市内の渋滞はこの数年で加速度的に悪化している。交通ルールの遵守についても、意識の水準をあげねば大きな社会問題として顕在化する。加えて、鉄道、バスといった公共交通機関の利便性向上も、合わせて必要となろう。

インドネシアにおける日系ブランドへの信頼度は、世界を見渡しても群を抜いて高い。これは、トヨタ自動車をはじめとする日系メーカーの、数十年に渡る努力の結果と言え、この果実を刈り取るフェーズに差し掛かりつつある。

日系自動車メーカーにとって、極めて有利なユーザーマインドが浸透しきっているものの、LCGCのあり方や、交通流の健全化、インフラ整備といった大きな課題も抱えた状態。巨大な人口を抱えるインドネシア自動車市場。持続的な成長に向けては、構造的な課題を早期に解決していく必要があるのかもしれない。

《土屋篤司》

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