【スバル レガシィTW 販売終了】後期モデルで280PS到達、ハイパワーワゴンここに極まれり…2代目[写真蔵]

自動車 ビジネス 国内マーケット
レガシィ ツーリングワゴン GT-B
レガシィ ツーリングワゴン GT-B 全 43 枚 拡大写真

スバルは、5代目『レガシィ』をもってツーリングワゴンの販売を終了することを発表した。セダンとアウトバックの両モデルは次期型レガシィでも引きつづき登場するが、ツーリングワゴン後継の座には6月よりデリバリーが始まる『レヴォーグ』が収まる。

ここでは、1989年の発表以来、日本における「スポーツワゴン」カテゴリーを切り開いたレガシィ25年の歴史をツーリングワゴンを中心に振り返ってみたい。

2代目『レガシィ』(BD/BG型)は、1993年10月に登場。ボディサイズは全長4670×全幅1695×全高1490mmと、全長が70mm長くなった以外は全幅でプラス5mm、全高ではマイナス10mmと、ほとんど外形寸法の変化はない。ホイールベースは50mm延長され2630mmとなった。

スバルでは2代目の開発にあたり、グランドツーリング性能のさらなる向上を目指して入念なチューニングを実施。その結果、ボディ剛性はサイドシルやルーフレールの断面拡大により初代比で曲げ30%・ねじり15%それぞれ向上している(ツーリングワゴン)。軽量化にも余念はなく、高張力鋼板の積極採用、各メカ/電制ユニットの小型化などで初代とほぼ同等の車重にとどめた。

パワートレインは引きつづきEJ型を採用しているが、ターボエンジンはシーケンシャルツインターボ化された。低回転時はプライマリターボ、高回転時にもうひとつのセカンダリータービンで過給することにより、一気に最高出力250PS/6500rpm・最大トルク31.5kgm/5000rpmまでアップ。シーケンシャルツインターボで指摘されるプラマリーとセカンダリーとの過渡領域の出力の段付きについては、プライマリーターボのウェストゲートを閉じて余剰排気ガスをセカンダリーへ回すことで予回転を与え改善を図った。これにより2000rpmの時点で25kgmもの大トルクを発生でき、さらに4000rpm以降からはセカンダリーターボが効きはじめ5000rpmで31.5kgmのトルクピークを迎える出力特性とされた。この結果、セダン「RS」では5.3kg/PSのパワーウェイトレシオを実現、一線級のスポーツカーに匹敵するパフォーマンスを手に入れている。

NA(自然吸気)エンジンは、2リットルのトルクが向上し150PS/18.5kgmに、初代の後期に登場した2.2リットルも引きつづき採用されており135PS/19.0kgmのスペックはそのまま。それぞれ等長エキゾーストの採用やカムプロファイルの見直しなどでフリクションの低減を図っている。また、登場翌年の94年6月には初代には存在した1.8リットルモデル(115PS/15.7kgm)が「LX」グレードとして復活し、さらに同年10月には2.5リットルモデル(160PS/21.5kgm)の「250T」が新たに登場している。

4WD方式は、従来のビスカスLSD付センターデフ方式(MT)とアクティブトルクスプリット方式(AT)に加えて、『アルシオーネSVX』で初採用されたVTD-4WDシステムがターボモデルのAT車に採用された。これは不等&可変トルク配分電子制御4WDとも呼ばれ、通常時は前輪35%・後輪65%と後輪寄りの駆動力配分としてハンドリンクを向上すると共に、路面状況に応じて電子制御の油圧多版クラッチにより前後50:50までの駆動力配分を可変させるシステムだ。

安全面ではトラクションコントロールや4センサー4チャンネルABSを新たに開発したが、発表時はツーリングワゴンのGT B-SPEC以外にはオプションまたは設定なしと、標準装着までには時間を要した。

1995年11月にはいまの『アウトバック』の祖先とも言える『レガシィグランドワゴン』が登場。地上最低高200mmにまでかさ上げしたハイリフト仕様で、専用バンパーや樹脂製オーバージェンダーなどの追加によりタフな外観に仕上がっている。

1996年にはシリーズ全体にマイナーチェンジが施され、内外装の一新に加えてEJ20ターボエンジンの最高出力が280PS(MT)にまで向上された。ターボのコンプレッサー容量アップや過給圧アップ、そして電子制御可変マフラー採用による排圧低減などで出力の大幅向上を実現している。

足回りについても、ダンパーサスセッティングの変更、4WDのリアストラットサイズの拡大、スタビライザー径の拡大などに加えてターボモデルにビルシュタイン製倒立式ストラットダンパー採用車を設けるなど一層の洗練を加えた。安全装備は運転席SRSエアバッグが全車に標準化、ABS+リアディスクブレーキも4WDの全モデルに標準搭載されている。

96年のマイナーチェンジではこのほかにも、リーンバーンエンジンの登場や、NAモデルの出力向上などメカニズムのリファインも図られている。2.2リットルエンジンはこの時にカタログから落ちている。

折しもWRCのドライバーズ/コンストラクターズのダブルタイトル獲得などの話題もあり、2代目は多様な特別仕様車も登場し、大いに人気を博した。2代目レガシィのヒットにより、日本では4WD高性能ワゴンブームが到来。三菱『レグナムVR-4』、トヨタ『カルディナGT-T』、日産『アベニールGT4』『ステージア 25t RS FOUR』など、“2匹目のドジョウ”を狙う他メーカーのフォロワーを続々生んだが、レガシィの高い完成度を前にその牙城は崩すことはできず、00年代のワゴンブーム終焉と共にラインナップから姿を消している。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  3. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  4. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  5. BMW、カーボン素材を天然繊維複合素材に置き換え、量産車に採用へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る