「アラー使用は不可」カトリック側が敗訴、連邦裁判決…マレーシア

エマージング・マーケット 東南アジア

カトリック教会の情報誌「ヘラルド」が神の表現として「アラー」を用いたことの是非が争われていた裁判で、連邦裁判所は23日、「使用不可」とした2013年10月の控訴審判決を支持する判決を下した。

これにより同裁判は「使用不可」との判決が確定する。

連邦裁判決は7人の裁判官による多数決制で、控訴審判決支持が4人で不支持の3人を上回った。裁判官7人のうち裁判長を含む5人がイスラム教徒であるマレー系で、非ムスリムが2人という構成だった。ザイヌン・アリ連邦裁裁判官だけがイスラム教徒ながら控訴審判決に不支持票を投じ、後の不支持票はいずれも非ムスリム裁判官だった。

教会側の弁護人は、14年にわたって「アラー」を使用していたが何ら公的機関からクレームがつけられることはなかったと主張。「アラー」使用に対する圧力が高まったのは、2009年の高裁判決が出てからのことに過ぎないとしていた。政治的な意図で「アラー」問題が利用されたといった批判や、宗教から距離を置くという立憲国家における司法の原則が守られていないとの批判は根強い。連邦政府は使用禁止は「ヘラルド」に限定したことだと強調しているが、今後の他への影響は否定し難く、特にキリスト教徒が多いサバ・サラワク州では不満の声が高まることが予想される。信教の自由を望む国内外のリベラル派からのマレーシア法制度に対する批判は避けられない見通しだ。

伊藤 祐介

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  4. カワサキ『Ninja ZX-25RR』を日本初導入、価格は105万2700円 スタンダード版「25R」は廃止
  5. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
  6. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  7. ソニー・ホンダ初のEV『AFEELA 1』、量産試作を開始…ホンダの米オハイオ工場で
  8. 快進撃のヤマハ、次は「親しみやすいスーパースポーツ」で勝負!?「鈴鹿8耐2025」注目の1台
  9. 日産『エクストレイル』米国版が2026年型に、新グレード「ダークアーマー」設定
  10. 【エンジン音あり】話題の新型ホンダ『CB1000F/SE』の“図太”直4サウンドを鈴鹿で堪能! ライポジ&足つきを最速チェック
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る