【インタビュー】理想の“FRスポーツ”を突き進む…レクサス RC 草間栄一開発主査

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レクサス 製品企画 主査 草間栄一氏
レクサス 製品企画 主査 草間栄一氏 全 20 枚 拡大写真

レクサスの新型クーペ『RC』は、“スポーツモデル”であることを強調する。開発ではサーキットテストも積極的に行ない、“FRの走り”を追求した。加えて開発にあたりベンチマークモデルはないとしている。ではレクサスは、RCでどのようなスポーツを表現しようとしたのか、RCとは一体なにか、開発主査の草間栄一氏に伺った。

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◆レクサスの“イメージ”を変える

レクサスRCには、大きく2つのミッションがある。草間氏は「まずはレクサスのブランドイメージを変え、エモーショナルな価値を高めること。そしてもうひとつは、高級車のメインユーザーである中高年層のみではなく、若い人にもアピールできるモデルであることです」と説明する。

クーペのである必要性については「スポーティかつエレガントを追求すると、クーペというカテゴリには潜在的なアピール性があります。しかも日本のみならず世界に対して発信できるのがクーペの魅力です」と草間氏。

加えて「RCはレクサスにとって必要なモデル」だと力説する。「ジャーマン3(メルセデスベンツ、BMW、アウディ)は、クーペを数車種展開しています。レクサスも『LFA』や『IS F』がラインアップから消え、エモーショナルなモデルがなくなっていました。その状況の脱却のためにもRCは必要だったのです」(草間氏)。

◆目指した走りはポルシェ『911 カレラ』

RCの開発において「ベンチマークにしたクルマはありません」と草間氏は明言している。草間氏はヨーロッパ赴任時に様々なクルマに乗り、「FRとは何か」を追求し続けた。

草間氏は「RCのプロジェクトは、私のヨーロッパ赴任時の経験から得たものが糧になっています。そのときの“FRとは何だろう”、“FRはこうあるべき”という考えに基づいて開発しました」。続けて「ジャーマン3はそれぞれ特徴があります。しかしどの方向に行っても同じクルマしか作れません。したがってRCでは、私の目指す方向を貫きました」(草間氏)と思いを語る。

しかし、意外な事実が明らかに。実は草間氏がプロジェクトにアサインされてから2週間後、『RC F』の開発主査、矢口幸彦の誘いでサーキットに赴いたところ、“とあるスポーツモデル”があった。それは、当時最新のポルシェ『911カレラS』。草間氏は「911 カレラSで走ったところ非常に驚きました。実は私が考えるFRの走りそのままが、(RRの)911カレラSで体現されていたのです。ですからRCは、走りの面ではポルシェを意識しています」と話した。

◆スポーツモデルで“ハイブリッドはアリ”なのか

RCにはガソリンエンジンを搭載したRC350の他、ハイブリッドエンジンのRC300hをラインアップしている。300hは、HVである上にトランスミッションはCVT。果たしてこれはスポーツと言えるのか。

草間氏はRC300hの存在について「特に日本のお客様については環境に対する意識が高く、走りがウリのクルマでも環境は考えているとアピールする狙いもあります。しかし、走りは犠牲にせず、HVでもスポーツ走行が楽しめるよう、しっかりと作り上げています。RCに込めたスピリットは、ガソリン車であろうとHVであろうと同じです」と語る。

加えてHVは重量配分などで有利でもあると説明。「RC300hは、重量配分で前後50:50を実現しております。実はこのバランスの実現に特別の苦労はなく、RC350で行なったチューニングやセッティングを当てはめると、自然に走りの良いクルマが出来上がりました」と草間氏。走りの違いについて「サーキットであればガソリン車とのパワー差は感じますが、一般道であればまず分からないでしょう。トータルとして、アジャイルな走り、快適な乗り心地、環境性をカバーしているので、まとまりの良いクルマと言えます」(草間氏)と話した。

◆レクサスは“打ち破る”

レクサスRCがお披露目となったのは、2013年の東京モーターショー(コンセプトカー)。市販はそれから約1年を数えたが、実はそのときには実車がほぼ完成したという、草間氏は「コンセプトモデルは、最終図面に近いカタチで作成しています。市販車との外観の変更もほとんどありません。そして、ほぼ同時に試作車も完成し、性能の最終確認や、量産に移した際の品質の検証などを行なっていました」と当時を振り返る。

またRCは、開発期間も短かったという。「手をつけてから3年で完成までこぎ着けています。立ち上がりからコンセプトの完成までは、4カ月です。これは新車の開発としては異例の短期間で、これまでの考え方を打ち破らなければなりませんでした。開発も、やめていいものは思い切ってやめ、必要なところはじっくりと行なうといった効率化を図りました」(草間氏)。

続けて「技術面でも、ISでのホイールアーチのプレスの深さをRCで破り、さらに深くしたといった技術革新も行ないました。RCは、これまでの開発期間や、技術用件など会社内のルールを打ち破っております。良き伝統は守るのですが、“いいモノ”を作るためには、それまでのものを打ち破らなければならないシーンが出てきます。実はレクサスはそういう挑戦がしやすい。むしろそれがあるからこそ、技術力もアップするのです」と語った。

《まとめ・構成 阿部哲也》

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