【ホンダ ステップワゴン スパーダ 試乗】 クールスピリットも快適感&使い勝手は秀逸…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ ステップワゴン 新型
ホンダ ステップワゴン 新型 全 20 枚 拡大写真

新型『ステップワゴン』のフラッグシップモデルというべきグレードが「スパーダ」に設定された「クールスピリット」だ。

エンジン、CVT、エアロ系の大型テールゲートスポイラーの装備や、夜、LEDがグリル横一列に点灯するフロントデザイン、専用サスペンション(FFのみ)といったエクステリア、足回りはスパーダ同様だが、ブラックコンビシート&専用インテリア、パドルシフト、17インチタイヤホイールがクールスピリット専用装備となる。

先代スパーダZクールスピリットは走りに特化したMクラスボックス型ミニバンとして人気だったが、さすがに乗り心地は固め。低重心感覚あるフットワークと引き換えに、特に段差やマンホールなどを越えたときのショック、音、振動は少なくなかった。

しかし新型クールスピリットは先代同様、スパーダに対して1インチアップの17インチタイヤを履き、適度に引き締まった乗り心地を示すものの、16インチタイヤを装着する標準型スパーダとそう変わらない、文句なく快適で段差をしなやかにいなしてくれるフットワークテイストが持ち味だ。乗り心地面で先代よりもっとも進化したのがこのクールスピリットと言えるかもしれない。

スパーダのクールスピリットは乗り心地がねぇ…と感じていた人は、ぜひその快適感を味わってほしい。きっと驚くはずである。

パワステは標準車、スパーダよりやや重く感じられる。が、それでも街乗り、駐車などでの扱いやすさは不変。箱根の山道を走らせても、専用サスペンション+17インチタイヤの組み合わせによって、シリーズ中、もっとも重心が低く感じられ、ロールも最小限。飛ばしてもまるで背高ワゴンをドライブしているような感覚なのである。

動力性能は1.5リットルターボにして先代2リットルモデル並み。特に山道の登坂、フル乗車したときの余裕はそれ以上。想定外にトルキーで車重を感じさせない軽やかな走りを見せるから頼もしく、心地良い。

発売前にテストコースを走った経験もあるが、足回りの前後バランスに優れ、ロードホールディング性能、曲がりやすさは文句なし。ドライブで山道を走る際、もっとも不安なく、安心して走れるのがこのクールスピリットである。

そして標準車、スパーダ同様、素晴らしく静かだ。わくわくゲートのサブドアからの乗降が可能になり、3列目席の実用性が格段に増しているが(シートのかけ心地は別にして)、走行中の車内のライバルを圧倒する静粛性の高さは、1-3列目席間の会話を容易にしてくれること間違いなしである。

ただし、燃費性能はスパーダよりやや落ちる、新型ステップワゴンの最高は17.0km/リットルだが、FFでも標準車の4WDモデルと同じ15.4km/リットルになってしまう。最小回転半径が標準車&スパーダの5.4mに対して5.7mになってしまうのも小回り性、駐車性でちょっと気になる点だ(先代は5.3/5.6m)。

スパーダクールスピリットの価格は先代とほぼ同じとはいえ、クラス上のオデッセイGと変わらない290万円弱。事前受注で半数が装着した、安心便利な先進安全装備のホンダセンシングはぜひとも付けたいところで、そうなると300万円を越える買い物になる。新型ステップワゴンは標準車(G=248万円)でも走りはかなりいいから、ファミリーミニバンにエアロ系の精悍な内外装、大径タイヤが本当に必要か、熟慮したいところだ。

新型ステップワゴン最大の魅力は、わくわくゲートのサブドアからの乗降性&楽しさと乗り心地のよさ、ダウンサイジングターボのトルキーな動力性能、そしてホンダセンシングのオプション装備にあると思うんですけどね…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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