気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年7月1日付
●新幹線内で焼身自殺、71歳男油まく、女性巻き添え、のぞみ26人搬送ダイヤ乱れ(読売・1面)
●スズキ鈴木修社長退任、会長兼CEOに後任は長男・俊宏氏(読売・10面)
●夏の箱根噴火に落胆、観光シーズン直撃(朝日・34面)
●スズキ「ワンマン限界」社長交代、提携戦略が課題(毎日・7面)
●タカタ、値下げ回避見送り要請、メーカーへの納入価格、リコール影響懸念(毎日・7面)
●自分と商品は高く売れ、ポルシェジャパン会長黒坂登志明氏(産経・9面)
●中国、CO2削減目標提出、GDP当たり30年に60~65%(日経・1面)
ひとくちコメント
子どもは親父の背中を追って育つとはいうが、どうもこの親子の性格と経営手法だけは真逆のようである。スズキの鈴木修会長がリーマンショック直後から兼務していた社長のポストを長男の鈴木俊宏副社長に譲ることになった。
きょうの各紙もこの日を待ち構えていたかのように社長交代としては異例の扱いで「スズキ社長に長男・俊宏氏、脱ワンマン、若返り図る」(産経)などと大きく取り上げている。
とはいっても、修会長は最高経営責任者(CEO)を継続し、取締役会の議長をつとめるため、俊宏社長の“仮免運転”中は、経営体制が大きく変わることはないだろう。
スズキの首脳人事について「トップ交代」と報じたメディアもあったようだが、正しくは「社長交代」であり、実の親子による「二人三脚」経営が、ようやくスタートするとみるべきだろう。
新社長に昇格した俊宏氏は「中小企業の親父に依存した体質からの脱却はひとり(ワンマン)ではできない」と述べ、これからは「カリスマ経営者」といわれる修会長のようにトップダウンで決めるのではなく、役員や社員の意見をくみ上げながら戦略を練る「チームスズキ」で取り組む意向を示した。
修会長も「私は古いタイプで人材育成には社員を怒鳴りつけて叱咤激励すればよかったが、時代は変わり、今では褒めながら育てなければならなくなった」と付け加えた。
修氏も俊宏氏も健康管理を兼ねたゴルフが趣味。だが、修氏は地元の浜松のホテル内にホームバーを設けるほど酒を嗜むが、俊弘氏は酒を飲まない。パーティー会場などでも如才なく振る舞う修氏に対し、俊宏氏はどちらかといえば直立不動で接する堅実タイプ。
1978年に社長に就任した修氏は、この間、社長交代を過去2回行った。いずれも生え抜きの技術畑で社長に抜擢されたが、健康を害して社長を続けることはできなかった。しかも、次期社長の大本命とみられていた娘婿も急死するというアクシデントに見舞われた。
次の100年に向けた経営基盤を強化するには、俊宏新社長には、まずは「健康管理」を徹底することから始めるべきだろう。