札幌のメインストリートに市電復活…新線の訓練運転始まる

鉄道 行政
西4丁目停留場から大きく弧を描いて外側線に入るA1200形A1203号の訓練車。
西4丁目停留場から大きく弧を描いて外側線に入るA1200形A1203号の訓練車。 全 15 枚 拡大写真

札幌市電ループ化事業の一環として、12月20日に開業する西4丁目~すすきの間0.4kmの新線で11月11日から訓練運転(習熟運転)が始まった。

札幌市のメインストリートで札幌駅前通りの一部である西4丁目~すすきの間で市電が走行するのは、1973年4月に同区間が廃止されて以来42年半ぶりのこと。廃止前の旧線は現在の中央分離帯付近に複線の線路が延びていたが、今回の新線では、それぞれの線路が歩道側を走行する「サイドリザベーション方式」となっている。そのため、外側線の線路は西4丁目停留所とすすきの停留所付近で大きなカーブを描いている。

サイドリザベーション方式となったことで車道が狭まり、渋滞が起こりやすくなるほか、線路が歩道脇に設置されることで、これまでの人や車の流れが変わることが懸念される。12月中旬まで続く訓練運転では、それらを踏まえて安全に運行するための訓練が重ねられる。

初日の訓練運転は10時05分頃から開始され、西4丁目停留場を出発し最初に外側(東側)線を走行、すすきの停留場で折り返して内側(西側)線に入り、西4丁目停留所に戻るというパターンが繰り返された。午前中は低床電車のA1200形A1203号が走行したが、午後は在来車の250形電車253号も加わり2両態勢で走行した。

すすきの停留所は、依然として仮停留所での営業が続けられているため、到着した訓練車はすぐに折り返していくが、西4丁目停留所は外側線へ通じる前部ホームで一般営業電車の乗車扱いを行っていたため、その状況を見てやや時間のかかる折返しとなっていた。

新線の途中には、アーケード街「狸小路」へのアクセスとして、外側線のドン・キホーテ札幌店前と内側線のアルシュビル前に狸小路停留場が設置されており、すでに外壁などが姿を見せている。開業までは細かい詰めの作業が進められるようだ。

西4丁目・すすきの両停留場ともに構内が大幅に変更されており、西4丁目停留場のホームは外側線がほぼ従来の位置となるものの、内側線は4丁目プラザの東向き付近にホームが設置されている。外側線のホームは前部(東寄り)が乗車用、後部(西寄り)が降車用となっているが、10~16時頃の訓練運転時間帯以外は、内側線から通じる線路上に仮設のホームが置かれて従来の折返し運転が行われ、本来の乗車用ホームは降車用に使われる。

一方、すすきの停留所は、内・外側線とも従来の位置となり、ホームが相対式になっている。両停留所とも、内側線、外側線の双方を行き来できる渡り線を備えており、電車専用の信号機が交差点に取り付けられている。

現在、札幌市電の1日平均の利用者数はおよそ2万2000人だが、新線の開業で600人程度の増加が見込まれるという。開業前日の12月19日には、地域や沿線施設などとの連携による開業記念式典が開催され、その後、西4丁目停留場から新線区間を往復する試乗車が運行されることになっている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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